就労移行支援は生活保護受給者も利用できる?制度の仕組みと現場の実情を解説

就労移行支援は生活保護受給中でも利用できる?

ここでは、就労移行支援を利用するにあたり、生活保護を受給している人でも就労移行支援のサービスを利用する事は可能なのか?など

就労移行支援と生活保護の制度の仕組みなどを解説していきたいと思います。

この記事がおすすめの方は以下の通りとなります。

  1. 生活保護受給中であり一般就労を目指したい方
  2. 就労移行支援事業所について詳しく知りたいという方
  3. 生活保護で就労移行支援を利用するメリット

以上となります。

これらの内容が気になる方におすすめの記事となっておりますので、是非ご活用くださいませ。

この記事の監修者この記事の監修者
精神保健福祉士 菅田 明子
精神保健福祉士として、日々現場に携わる経験から症状に関する事や、福祉制度に関する事、就移行支援やリワーク・精神障害者雇用など、現場の経験からわかりやすく解説していきます。
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就労移行支援とは?制度の基本をおさらい

まずは、就労移行支援のサービスについて、いくつかおさらいとして解説していきたいと思います。

もうすでに、就労移行支援では何をするのか?どんなサービスなのか?をご存じの方も多くいらっしゃるかと思います。

これから就労移行支援事業所の利用を考えている方や興味がある方に向けて、制度の基本の解説の流れは以下の通りです。

  • 就労移行支援の目的と支援内容
  • 生活保護受給者がご利用できる条件

これらの順番で解説して参ります。

就労移行支援の目的と支援内容

就労移行支援では、障がいや病気が原因で就職することが困難な方の就職をサポートする福祉サービスです。

具体的には、精神障害や発達障害、知的障害や身体障害などの障がいをお持ちの方に向けて、一般就労に向けたさまざまな訓練を通じて、社会参加へのお手伝いを行う通所型のサービスとなり「就職に必要な知識やスキルを身に着ける為、様々な訓練」を行っていきます。

そして、就労移行支援を利用する大きな目的とは就職をするための知識・スキルを身に着け、合理的配慮やご自身の障害への理解と対処を学び、何よりも長期の安定就労を目指すところにあります。

生活保護受給者が利用できる条件とは?

就労移行支援は誰でもサービスを利用できる訳ではありません!定められた条件を満たさなければ利用する事が出来ないのです。

就労移行支援のサービスを利用できる対象になる条件は以下の通りになります。

原則として18歳以上満65歳未満(※)の方
※例外として「65歳に達する前の5年間に障害福祉サービスの支給決定を受けていた方で、65歳に達する前日において就労移行支援の支給決定を受けていた方は、当該サービスについて引き続き利用することが可能」と定められています。

身体障害、知的障害、精神障害(統合失調症やうつ病、双極性障害、適応障 害、てんかんなど)、発達障害や、難病の方のある方が対象であり

また、一般企業への就職を希望しており、就職が可能と見込まれている方や「就労継続支援事業所(A型・B型)」のように、通常の事業所に雇用されることが困難な方も利用の条件となり、これらの利用対象となります。

現在、就労していない方(※)
※申請を受け付ける自治体の判断により、休職中やアルバイトをされている方などの利用が例外的に認められる場合もあります。休職者については、所定の要件を満たす方を対象に利用が可能となります。

どうでしょうか?
上記に記載されている条件を全て満たすことできる方のみ、就労移行支援のサービスを利用する事が出来ます。

なので、これから就労移行支援の利用を考えている方は、ご自身が利用対象者であるかどうかを事前に確認する必要があります。

具体的に、厚生労働大臣の定める就労移行支援事業所の対象者は以下の通りです。

一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者

■ 通常の事業所に雇用されている障害者であって主務省令で定める事由により当該事業所での就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一 時的に必要とする障害者

※ 休職者については、所定の要件を満たす場合に利用が可能であり、復職した場合に一般就労への移行者として取り扱う。

※ 65歳に達する前5年間障害福祉サービスの支給決定を受けていた者で、65歳に達する前日において就労移行支援の支給決定を受けていた者は当該サービスについて引き続 き利用することが可能

引用:【厚生労働省】就労移行支援

生活保護受給中に就労移行支援を利用するメリット

生活保護で就労移行支援を 利用するメリット3選

生活保護受給中に就労移行支援を利用するメリットは以下の通りです。

  • 就労支援で自立を目指すチャンスが得られる
  • 利用料が0円で利用可能!
  • 就労自立給付金が受け取れる

などが挙げられます。

そもそも、先ほどもお伝えした通り就労移行支援では就職を目指すことが出来ますので、生活保護受給中の方にとってはデメリットよりもメリットの方が多いでしょう。

いくつかあるメリットをこれからご紹介していきたいと思います。

就労支援で自立を目指すチャンスが得られる

就労移行支援は学習面のスキルを向上させて、就職するにあたり有利になる資格取得を学習ができますが、学習面だけでなく、体調面の改善のサポートも行っています。

生活リズムの改善や自己分析をして病気の悪化を防ぐなど、医療関係の職員が常駐している事業所もあるのです。

社会復帰を目指せる社会との繋がりや社会で自立し、安定した収入を得れるよう就職までのサポートを行ってくれるのです。

利用料がかからない【交通費・昼食費などの実費が支給される事業所もある】

まずは、就労移行支援を利用する際に利用料が発生する方と発生しない方の2つがある事をご存じでしょうか?

これは前年度の世帯収入によって利用をが発生するかしないかに分かれます。
具体的には以下の表をご覧ください。

就労移行支援事業所”利用者自己負担額表”

区分 世帯収入の状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満)
※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。
9,300円
一般2 上記以外 37,200円

生活保護を受給している人は生活保護受給世帯になるので、利用料は0円になります。

ここで重要なのが、利用料以外にも交通費や昼食費などの費用が必要となってきます。

※但:利用回数が増えればその分、交通費・昼食費は加算されていきます。

生活保護の方にとって通所期間での金銭面は非常に大きな問題と言えます。

しかし、事業所の中にはこのような費用を負担してくれる事業所も存在します!

実際に当校でも交通費全額支給を行っており、金銭面をあまり気にすることなく利用ができるので、利用料0円・交通費や昼食費の提供がある事業所を選べれば金銭面に余裕を持って利用できるのも大きなメリットになります。

生活保護の就労自立給付金の受け取り

生活保護の方の場合、就職された際のお祝い金として「就労自立給付金」の受け取りが可能となりますので、こちらもメリットと言えるでしょう!

保護受給中の就労収入のうち、収入と認められた金額の範囲で一定額を仮に積み立てとし、

安定就労の機会を得た事によって、生活保護が廃止に至った時に支給する制度です。

【支給対象】 安定した職業に就いたことで生活保護を必要としなくなったと認められた世帯
【給付額】 生活保護を廃止した月から起算して前6ヶ月の期間で、就労収入から勤労控除や必要経費などを控除した額に10%を掛けた金額に、最低給付額を上乗せした金額が給付額となります。

(支給額の上限は、単身世帯は10万円、複数世帯は15万円と決められています。)

※最低給付額は単身世帯で2万円で複数世帯で3万円となります。

参考:【厚生労働省】生活保護法による就労自立給付金の支給について

就労移行支援を利用されて、就職された場合、上記のような支援制度を活用する事が出来るのもメリットの一つと言えるでしょう!!

就労移行支援と生活保護の併用で注意すべきポイント

生活保護を受給しながら、就労移行支援を利用する事に対して、いくつかの注意点がございます。

これから、生活保護を受給している人の中で就労移行支援の利用を考えている方に向けて、事前に知っておきたい注意する点をご紹介していきたいと思います。

収入申告と扶助調整の手続きに注意

就労移行支援と生活保護の併用はもちろん可能ですが、生活保護費を受給していて収入がある場合は、収入金額の申告を行う必要があります

こちらを申告しないと最悪のケースで言えば不正受給になる可能性があるため、注意が必要となってきます。

また、就労移行支援に通われている間、状況に応じて生活扶助費に加算が計上される場合もございますので、該当される方は手続きなども忘れず行うようにしましょう。

通所中交通費に関する支援の違い

収入がなければ毎回通所する際の交通費や昼食費が積み重なると金額面を気にしながら通所しなくてはなりません。

しかし、就労移行支援事業所が少しでも負担してくれれば、金額面がきつくて通所日数を減らしてしまうという原因がなくなります。

負担してくれる事業所は少ないですが、負担してくれる事業所をいくつかご紹介していきます。

それでは、実際に大阪にある就労移行支援事業所で交通費を全額から一部支給してくれる事業所を紹介していきます。

福祉事務所の就労支援とハローワークの相談員が連携して就労支援プラン

生活保護受給者の場合、国によって支援対象者の就労による自立を促進するための、就労促進を図るハローワークと地方自治体との連携を推進しています。

地方自治体 (福祉事務所等)とハローワークが、その方の就労準備状況などを共有し自立へと導くための連携を密に支援を進めていくといった点が、厚生労働省によって定められています。

詳しく知りたい方は、以下の厚生労働省のリンクから大まかな流れをご覧くださいませ♪

引用:【厚生労働省】ハローワークと連携した 就労支援について

実際に就労移行支援を利用した生活保護受給者の事例紹介【うつ/50代/男性】

それでは実際に当校、就労移行支援事業所WithYouをご利用いただきた方の中から生活保護を受給しながら利用頂いた方の利用事例をご紹介していけたらと思います。

体験談男性B

過去には、経理事務や営業事務など、事務職で数社の勤務経験や、接客業の経験がありました。

 

業務時間外での社員との関わりが多く人間関係でしんどくなってしまったり、業務が難しかったりすることがあったそうです。

 

ある時期、仕事がつらくなり、外に出ることができなくなって精神科を受診したところ、うつと診断されました。

 

体調を崩し働くことが難しく、家族からの援助も受けることができなかったため、生活保護を受給する運びとなりました。

 

しばらくは生活保護を受給しながら休養していましたが、外出も可能になり、

「また働きたい」、「生活保護を抜けたい」と思うようになり、就労移行支援を探し、WithYouの利用が始まりました

 

今までの事務経験を活かし、障害者雇用での事務職を希望され、

事業所内ではワードやエクセルのパソコン操作や新しい機能を改めて学んだり、簿記や会計を学んだりしながら、週5日通所できる体力をつけていきました。

 

また、苦手としているコミュニケーションやストレス発散法について、職員との面談や講座の受講を通して考えていきました。

 

保護費だけで過ごすことが厳しい月もあり、

何にどの程度お金を使っているかを定期的に整理し、やりくりの仕方や、サイズが変わりスーツなども新しく用意する必要があったため、月にいくら残しておけば就職活動に必要なものが全て購入できるのかなどを、一緒に考えていきました。

 

就職活動では、なかなか選考に通らず、気持ちが落ち込むことがありましたが、職員と面談を行いながら、応募を続けていきました。

 

結果的に、労務関係の事務で就職が決まり、

ご本人の目標であった「また働きたい」「生活保護を抜ける」という希望を達成することができました。

生活保護中の方が就労移行支援を利用する手順

ここでは生活保護を受給している人が就労移行支援を利用するまでの手順をご紹介していきたいと思います。

 

就労移行支援を利用するには障がい福祉サービス受給者証と言うものが必ず必要になります。

この受給者証を自治体で申請をして発行してもらわなければ利用する事ができません。

就労移行支援の様な福祉サービスの利用をするのは複雑なイメージですが、実はそんなに難しいことではありません。

これから利用を考えている方などは是非参考にしてみて下さい。

まずは就労移行支援事業所を見学しましょう

まずは、自分が利用したい事業所をネットなどで見つけるようにしましょう。

そして気になった事業所があれば、問い合わせをして見学を行います。

見学では、実際に行くことで事業所の雰囲気・職員の接し方などホームページなどでは得ることが出来ない情報をたくさん得ることが出来ます。

始めに見学を行う理由は受給者証が就労移行支援事業所の一事業所に対して発行されるもであるためです。

障がい福祉サービス受給者証の取得について

障がい福祉サービス受給者証とは、障害者総合支援法や児童福祉法に基づいて運営をしている事業所の福祉サービスを受けるために、必要なものです。

自治体への福祉窓口へ行き就労移行支援のサービスを利用したい旨相談します。

その後、職員よるヒヤリング(生活状況・家族構成など)を行い受給者証の発行が必要かどうかの審査が行われます。

申請から発行まで1~2カ月ほどの期間を経て、審査が通れば受給者証が発行され、事業所との契約後、就労移行支援のサービスを本格的に利用する事が出来るのです。

利用開始後の通所スケジュールと支援内容の流れ

就労移行支援を利用して就職までの計画書『個別支援計画書』を作成し、どんな職種で働きたいか?将来何をしたいか?など今後の計画を作成しています。

これは職員と一緒に考えて作成する事ができるのでじっくりと考えましょう。

ご自身に合った支援計画に沿って、2年間の間に就職を目指した職業訓練を行い希望の職種への就職を目指します。

支援機関を上手に活用して未来の選択肢を広げよう

就労移行支援を利用するには利用料であったり交通費・昼食費などの費用が発生してきます!

就労移行支援を利用している期間は原則アルバイトなども基本的にはできず収入がないため、利用している人は貯金を切り崩したり家族からの支援で利用しています。

今回の記事のような生活保護を受給したり、他にも障害年金などの給付金を受給している人もいます。

就労移行支援を利用して、少しでも早く社会への自立を目指すためにもさまざまな支援制度や支援機関を上手に活用しましょう。

よくある質問(FAQ)と誤解の解消

就労移行支援などの福祉サービスは制度が非常に複雑で難しいですよね!?

なのでこの項では、生活保護の方より渡航に寄せられるご質問で多かったものを厳選させていただき、就労移行支援の制度に対して、よくある質問や多くの方が誤解している事などをご紹介していきたいと思います。

「生活保護を受けていたら就職できない?」

結論、生活保護を受けていても就職する事はできます。

生活保護を受けていたら就職できないと思っている方も多くいらっしゃいますが、それは誤解です。

生活保護の目標は働いてもらう事なので、就労移行支援などの福祉サービスを利用して就職を目指せます。

就職したら生活保護はすぐ打ち切られる?

生活保護が打ち切られる理由はいくつかございます。

以下をご覧ください。

  • 収入が最低生活費を上回るようになった
  • 受給者本人が保護を辞退した
  • 受給者が失踪した
  • 指導指示に違反した

この4つが挙げられます。

なので、就職して収入が最低生活費(13万円)を上回るまでは打ち切りになることはありません。

身体・精神・発達障がいいずれも対象?

身体・精神・発達障がいいずれも対象になります。

就労移行支援は様々な障がいがある方が利用しています。

事業所によっては特化型の事業所があり

例えば、発達障がいに特化した事業所、精神疾患に特化した事業所など

障がいの特性を理解した特化型の事業所がありますので、ご自身の障がいに特化した事業所を利用すれば

障がいへの理解が高いのでこのような事業所を利用するようにしましょう。

まとめ

これまで、生活保護と就労移行支援の関係についていくつかご紹介してきました。

生活保護を受けながら就労移行支援を利用している人は比較的多くいらっしゃり、金銭面が理由で就労移行支援のサービス利用を断念してしまう方も多くいらっしゃいます。

ご家族からのサポートを受けれなかったり、貯金などが無い方は給付金や生活保護などを活用するようにしましょう。

そして、交通費や昼食費の負担がある事業所を選べば、より金銭面を気にすることなく就労移行支援のサービスを利用できると思いますので、そういった事業所を選ぶようにしましょう。

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