就労移行支援で2年過ぎたらどうなる?期間リセットの方法や延長方法を解説

就労移行支援を2年過ぎたらどうなる?

就労移行支援のサービスには定められた期間があることはご存じですか?

就労移行支援を利用できる期間(標準利用期間)は原則2年間です。

この2年間で事業所にて体調面・精神面を改善して訓練を行い、就職を目指すのです。

そんな中で、事業所に寄せられる質問の1つに【利用期間の2年間が過ぎたらどうなるんですか?】という質問がよくあります。

確かに、就職するという事は簡単な事ではありません。

2年間の利用期間内で必ず就職できるかと言ったら決してそうではありません。

では、就職することができず2年間の利用期間が過ぎてしまったらどうなるのでしょうか?

これから、2年間過ぎてしまった時の対処法や利用回数など、皆さんが気になっている事をご説明していきたいと思います。

この記事の監修者この記事の監修者
精神保健福祉士 菅田 明子
精神保健福祉士として、日々現場に携わる経験から症状に関する事や、福祉制度に関する事、就移行支援やリワーク・精神障害者雇用など、現場の経験からわかりやすく解説していきます。
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就労移行支援は2年すぎたらどうなる

就職ができずに2年間が過ぎてしまった場合の選択肢は人それぞれ色々ありますが、1番多いのは期間の延長申請をすることです。

延長が認められれば、最大1年間の利用期間延長が可能となります。

就労移行支援は1年延長できる

これにより、標準利用期間である2年間+1年間の利用が可能な場合がございます。

※この期間の延長は誰でもできる訳ではなく、その可否は自治体の判断により異なりますので注意しましょう。

一口に延長申請と言っても、どうやって申請すれば良いのかわからない方もいらっしゃると思いますので、これから申請方法をご紹介していきたいと思います。

期間延長の申請方法

まず初めに、延長したい旨を担当の支援員に相談しましょう。

相談する際は期間が切れるギリギリではなく、期間が終了する2か月前には相談するようにしましょう。

しかし、支援員とプログラムを組んでいるので支援員も期間が後どのくらい残っているかなど把握はしているので、

支援員の方から延長の旨を伝えてくるかと思います。

もしその様な話が出なければ、支援員に相談してください。

その後、申請の手続きへと進みます。

延長の申請は自治体へします。

延長申請に限らず、自治体などに申請すると聞くと複雑で難しいイメージがあるかと思いますが、この申請自体はこちらの担当支援員にて行いますので安心してください。

一応、ある程度の申請手順も知っておけばスムーズに行えるかと思いますので、申請手続きの流れを簡単にご紹介しておきます。

延長申請の流れ

では次に、利用期間の延長を行うにあたり延長申請の流れについて解説していきます。

1.審査に必要な書類の作成
この申請に必要な書類は支援員にて作成いたします。

2.申請書の提出
上記の作成した書類を自治体へ提出します。こちらの提出も支援員にて行います。

3.審査

自治体にて、申請書類を元に本当に延長が必要な人なのかどうか延長認定審査会を行って審査をしていきます。

4.延長審査の決定

審査が終了し、審査通過後に延長が確定になり、最大1年間の延長期間を利用することが出来ます。【※原則1回】

先ほども言いましたが、誰でも審査が通るわけではありません。

審査の対象になるための最低現必要な条件もあります。

条件をクリアしたからと言って審査に通るわけではありませんが、最低限の延長の対象になる条件をご紹介します

就労移行支援の延長が認められるパターン

対象になる条件・・・

  • 就職するために引き続き訓練が必要な方
  • 職場実習・就職活動を行っている方
  • 体調不良などの理由で事業所に通えなかった方

など

2年間の利用期間で就職ができなかった方でも、就職に対する意識がしっかりとあれば少なくとも延長の対象にはなるでしょう。

最近では新型コロナウィルスの影響もあって厚生労働省より、令和3年4月以降より通達があり、

就労移行支援の利用期間を延長、またはリセットや再利用を検討する措置が行われましたので比較的申請が通りやすくはなっているようです。

理由は新型コロナの影響で世の中の働き方がテレワークなど、どんどん変わっていく中で、就労移行支援の訓練内容では追い付いていない部分もあり、

臨機応変に対応しなければならない現状なので少し時間が必要という判断です。

後は感染対策で事業所に来たいけど来ることができなかった期間が多くある方もいらっしゃいますので訓練できなかった期間あるという事で延長できやすくなっています。

参考:【厚生労働省】新型コロナウイルスへの対応に伴う就労継続支援事業の取扱い等について (第8報)

延長以外の選択肢はなにがある?

2年間を過ぎた場合、延長申請をして延長する方が多いと言いましたが、延長以外にも就労継続支援A型B型に移行する方も多いです。

この就労継続支援A型B型は就労移行支援と名前が似ていますが、以下のように目的面で大きな違いがあります。

就労移行支援就労を目指し訓練や就職の準備をする施設
就労継続支援a型・b型社会復帰に向けて就労を行う施設です。

就労移行支援と就労継続支援は利用目的が違います
、他にも賃金の有無や利用期間も違っていたりします。

就労継続支援のA型B型と言いましたが、A型B型でも違いがあります。

簡単に説明すると・・・

就労継続支援a型事業所と雇用契約を結び、一般就労に近い環境で働くことができます。
就労継続支援b型雇用契約を結んで働くことが困難な方であっても、短時間など自分のペースで働くことができます。

就労継続支援は就労支援を利用して就職ができなかった方や延長申請で審査が通らなかった方が利用することが多いです。

就労移行支援の利用期間がリセットされるケース

就労移行支援は特例として利用期間の2年間がリセットされる場合があります。

利用期間がリセットされるケース

リセットされるかどうかは自治体によりますのでリセットされるケースは稀です。

リセットできる理由に関しては、決まった基準や条件などはないので自治体へ相談してからじゃないとできるかどうかは正直わかりません。

リセットされるケースで言えば、就労移行支援を利用して1度は就職をしたが退職してしまい利用期間も残っていなかった際に自治体に申請をして期間のリセットが可能になったケースがあります。

しかし、リセットと言うのは基本的には出来ないので本当に稀なケースでした。

審査に通るためには少なからず就職に見込みのある方や休職中の方が就労移行支援を再度利用して復を目指している方、

また、主治医からの意見書などを参考に審査を行いますので、延長期間の審査と同様に最低限の条件は必要になります。

就労移行支援は一生に一度しか利用できない?

2回目利用できる4つの利用パターン

就労移行支援は一生に一度しか利用できないと思っている方が多いと聞きますが、

全くそんなことは無く、標準利用期間である2年間の利用日数が残っていれば何度でも利用することが出来ます。

以下の記事では就労移行支援の2回目の具体的な利用方法を解説しています。

就労移行支援の利用期間の計算方法

例えば、就労移行支援を1回目の利用で1年間(12カ月)利用したとしましょう。

1年間の利用を経て、就職をしたけど何らかの原因で退職してしまい再度、就労移行支援を利用しようとなった時に

残りの利用できる日数は1年間(12カ月)という事になります。

簡単に言いますと利用した日数が合計で2年(24か月)になる計算で利用してください。

就労定着支援は再利用できる

就労定着支援とは簡単に言うと、就職後に生じる悩みや相談事を解決していき、長く同じ職場に定着して働けるようにサポートを行うサービスに事です。

就職して7か月目から利用することができ、最大3年間利用することが出来ます。

7カ月目からという事は就職してから、その期間は何もサポートがないわけではなく、就職してから半年間(6カ月間)は利用していた就労移行支援事業所の方で就職後の定着支援を行います。

なので就職してから事業所の半年間の定着支援を合わせると全部で3年6カ月の期間、就労定着支援のサポートを利用できるという事ですね。

就労定着支援は再利用できるか?

という事でしたが、就労定着支援は1年ごとに契約の更新があるため再利用することは可能です。

もしも就労定着支援のサービスを利用できる期間が過ぎてしまったら、次の対策として障がい者就業や生活支援センターなどの支援機関に引き継いてサポートしてもらう形になるので、

3年が過ぎてもキッパリサービスの利用自体が出来なくなるという事はありませんので安心してください。

ちなみに、この就労定着支援は強制ではなく、任意です。

就職した最初の半年間の事業所での定着支援でもう支援は必要ないと判断すれば無理に就労定着支援は使用しなくても大丈夫です。

しかし、働いていくうちに悩み事は増えていくと思います。
1度、定着支援の利用を断ったからと言って、2度と利用できない訳ではありません。

もしも、必要だと思いましたら就労移行支援サービスと同様に、近くの自治体窓口にて受給者証の申請を行っていただく必要があります。

就労移行支援2回目の利用

上記でもご紹介しましたが、就労移行支援は一生に一度の利用ではありません。
利用期間内であれば2回目も利用することは可能です。

こちらの事業所にも一度就職はしたものの退職してしまい再度、事業所を利用してくれる方もいらっしゃいます。

再度利用される方より連絡があるのですが、多くの方は「どうやったら再度就労移行支援のサービスを利用できるんですか?」
と言った質問が多いです。

2回目だからと言って、特別な申請が必要という事はなく。1回目に利用したときと手続きの流れ自体は同じです。

ここで皆さん勘違いされていることが多いのは、受給者証の件です。

1回目の利用の際に発行された受給者証をそのまま2回目でも使用できると思っている方が多いですが、1回目に使用していた受給者は2回目利用の際には使用することはできません。

なので、受給者証を再度発行しなければならないので、手続きは必要になってきます。

受給者証の発行手順をお忘れの方もいらっしゃるかと思いますので、思い出してもらうためにもこれから簡単に手続きの流れをご紹介していきますね。

受給者証発行の申請手続きの流れ

1.​まずは自治体(市区町村)へ行き、福祉窓口で就労移行支援の利用(再度利用)したい旨を伝えましょう。

この時に1回目で利用していた事業所を再度利用するのか、新たな事業所を利用するのかを、あらかじめ決めておくようにしましょう。(※自治体によっては事業所を変更できない自治体もありますので、再利用の事業所が1回目利用していた事業所になることもあります。)

2.​受給者証を発行するにあたり、必要な書類を記入して提出します。
もしもわからない箇所があれば担当のスタッフに聞いてみたり記入例などをご覧ください。

3.​役所の担当職員からのヒヤリングがあります。
この時は1回目とは違い2回目の利用になるので.退職した理由や就労移行支援を利用する理由など聞かれることが多いです。

1回目と同様に正直に質疑応答するようにしましょう。
ヒヤリングを行った情報を元に審査が入ります。

この審査が認定される期間は1週間から1カ月程度になります。

その間はゆっくり体を休ませて利用できるかどうかわかりませんが就労移行支援のサービスを受ける準備は整えておきましょう。

4.2回目の利用の際も暫定支給される場合があります。
暫定支給は事業所が自分に合っているのか確認するためのお試し期間でしたよね。

1回目の利用の時に通っていた事業所にそのまま2回目も利用するのであれば、事業所の大体の事は理解していると思いますので、あまり関係のない期間かもしれませんが、

2回目は違う事業所を利用する方も多いので、暫定支給期間が必要となるのです。

5.受給者証が発行されて就労移行支援の利用が確定すれば、再度就職に向けて訓練を行っていきます。

受給者証申請手続きの際の持ち物

申請に行くときの持ち物も一応、簡単にご紹介しておきますので参考にしてください。

  • 印鑑
  • マイナンバーカード
  • 書類等
  • 証明書

ここまでは最低限必要となってきます。

  • 自立支援医療受給者証
  • 手帳等

この2点は必要な方のみ持参してください。

【精神疾患などが理由で病院に通院されている方に交付されるのが自立支援医療受給者証です。
手帳は精神障害者健康福祉手帳・療育手帳。身体障害者手帳の事を言います。】

就労移行支援3回目の利用

今までは1回目の利用、それから2日目の利用の際の手続きの仕方や利用方法をご紹介してきました。

ここの3回目の利用はできるのか?という事ですが、もちろん期間内であれば3回目の利用も可能です。

2回目の利用のところで利用期間の計算方法をご説明しましたが、
合計で24か月の利用期間を超えなければ何度でも就労移行以降は利用することができるのです。

就労移行支援のサービスを利用するにあたり、利用回数の制限などはございません。
なので、3日目の利用だろうが、4回目の利用だろうが回数自体は何回でも利用することが出来ます。

しかし、何回も利用できると言っても大体の方は2回目の利用で利用期間が切れてしまうため、3回目4回目を利用される方は延長の制度を使用しなければ難しいところがあります。

延長期間は最大1年間になります。
この延長期間が使用できる方は3回目も利用ができますね。

しかし、中には4回目や5回目を利用する方も数は少ないですがいらっしゃいます。

4回目5回目の利用をするという事は、利用期間の延長を使用したり期間のリセットが出来た方たちの利用回数になると思います。

もしくは、就労移行支援を利用して早い段階で就職が決まった方や、体調不良が続いて就労移行支援の利用を途中で中断したり再開したりを繰り返した方が4回目や5回目の利用をするのだと思います。

こちらの事業所には2回目の利用をする方は多いですが、3回目以降の方はとても少ないです。

就職して離職を繰り返す方が3回目の利用をすると言ったケースが多いですね。

就労移行支援3年以上

3年以上、就労移行支援を利用するとなると、就労移行支援の利用期間(標準利用期間)とプラスで延長期間の1年間を利用する形になります。

この3年間の利用期間でも期間が足りなかったという方は、期間のリセットが必要となるわけですね。

期間のリセットが出来れば、また標準利用期間の2年間から始まるので4年目・5年目と利用期間がどんどん増えていき、

リセット後の延長期間も使用するとなれば6年目の利用ができることになります。

標準利用期間の2年目以降の利用をするにはすべて申請が必要で審査に通らなければ利用できない期間になります。

何度も言いますが、就労移行支援の利用期間は原則2年間です。

この2年間で訓練を行い就職を目指します。

3年以上の利用は出来ないと思って最初から就労移行支援のサービスを利用するようにしてください。

2年以上の利用期間を利用してしまう原因

就労移行支援のサービスの標準利用期間の2年間では就職が出来ず、延長期間も使用しても就職ができない方はいらっしゃいます。

確かに全員が全員、就職できる訳ではありません。

標準利用期間内で就職ができない方の原因は一体どんなことがあるのでしょうか。

例をいくつかご紹介していきますので是非参考にしてください。

安定して通所できなかった

就労移行支援を利用した当初は体調面・精神面も良好で新しいことにチャレンジできたという事で、どうしても張り切りすぎてしまう利用者さんが多くいます。

頑張ることはとても大切なことです。

しかし、最初に頑張りすぎるとご自身で気づかないうちに、どんどんストレスが溜まっていたり疲労がたまっていたりして体調が悪化してしまうと言ったケースも少なくありません。

そうなってくると通所自体も安定して通所できなくなってしまったり悪循環になります。

就労移行支援は慣れるまで自分のペースで少ない日数や短時間からの通所することが可能です。

最終的には、就職が近づくにつれて週4~5日の通所を目指す必要がありますので最初はゆっくりで大丈夫です。

就職をすれば、毎日通う事になるので就職したことを考えて体力づくりと慣れを身に着けなければなりません。

そして、就労移行支援に毎日通う事が企業にとって障害が安定しているという事に繋がるためです。

また、少ない日数でずっと通所していると、訓練のカリキュラムを十分にこなせず就職の準備が出来ていない状態で利用期間が終了してしまう事も理由の1つです。

就職の準備が不十分であった

就労移行支援では就職に必要なスキルを身に着けますよね。

例えば、就職活動の際に必要となるビジネスマナーであったり面接であったり、スキルがある程度必要なものに対してスキルがあまり身に着いていなければ、
就職するのも難しくなります。

準備と言うのは先ほど体調面を整えて就職できる体力が必要と言いましたが、体調面だけでなく、学習面でも十分な準備が必要なのです。

なので多くの人は様々な資格を取得する人が多いです。

事務関係で就職を目指している方であれば、簿記であったり会計士などの資格を取得しています。

自分が就きたい職種に対しての資格を取得していれば就職活動の際に大きな武器になります。

就労井移行支援では最低でもPCなどを使って基礎的な部分は身に着くかと思います。

しかし、資格取得しておけば就職の準備は出来ているので、学習面で言えば少なからず就職はしやすくはなるかと思います。

就労移行支援で2年過ぎた時のまとめ

就労移行支援での利用期間内であれば利用回数の制限はありません。
そして、必要に応じて延長であったり、期間のリセットなど申請するようにしましょう。

1番良いことは2年間の中でしっかり訓練を行い、体調も整えて就職する事です。

しかし、それをできない方ももちろんいますので延長期間など使えるサービスはどんどん使うようにしましょう。

最後にもう1度だけ言っておきますが、誰でも延長やリセットを利用できる訳ではありません。

延長やリセットを利用できないと思って就労移行支援の標準利用期間を利用する様にしましょう。

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