今回の記事では、「就労支援サービスの種類について」利用できる方や、利用するまでの流れなどをご紹介します。
就職を目指しており、就労系の支援サービスの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
まず、就労支援サービスの対象者となる方ですが、基本的には「障がいをお持ちである方」が対象となります。
では、症状はあるがグレーゾーンなどで診断が出ていない方で、
社会的には健常者と定義づけられるか方(障害者手帳を持っていない方)は、就労支援サービスを利用ができないのでしょうか!?
結論「医師の意見書」があれば利用することは可能です。就労支援サービスを利用するために必要なのは、「障害福祉サービス受給者証」です。
この障害福祉サービス受給者証は、障害者手帳を持っていなくても、医師の意見書などがあれば申請することができます。
障害と診断されていなくても、例えば、
上記に当てはまるような方は、
医師の意見書を元に障害福祉サービス受給者証を発行してもらえる可能性がありますので、心療内科や精神科で相談してみるのがよいでしょう。
※一般的に精神障害者保健福祉手帳の交付を受けにくい「適応障害」においても結論は同じとなります。
意見書とは!?
医師という専門家の立場から、診察を受けた人についての意見を記載する書類です。
就労支援を受けることが望ましいとされるかどうか、記載してもらいます。
就労系障害者支援サービスの種類は、大きく分けて3つに分けられます。
それぞれの特徴、違いについて見ていきましょう。
一般企業への就労を目指す方に向け、就労に必要な知識やスキルの向上のためのサポートを行うところです。
週1日から通所が可能ですが、就労に向け徐々に通所日数を増やしていきます。
続いて、紹介する継続支援との大きな違いは
一般雇用や障害者雇用枠など様々な選択肢を視野に入れハイレベルな職業訓練を行う施設である事が特徴的です。
一般就労がまだ難しい方に対して、雇用契約を結び就労の機会を提供するところです。
雇用契約を結ぶため、週5日の通所が基本です。
雇用契約を結んで就労することが難しい方に向け、就労の機会や生産活動の提供を行うところです。
週1日から利用することが可能です。
また、就労機会の提供という観点より工賃という形で作業に対して金銭の支給がある事も特徴的です。
就労支援の違いを表にまとめたものが以下になります。
就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | |
目的 | 一般就労を目指す方が就労に向けての準備を行う | 一般就労は難しいが雇用契約を結び就労が可能な方へ就労機会の提供 | 雇用契約を結んで就労することが難しい方への就労機会の提供 |
雇用契約 | なし | あり | なし |
賃金 | なし | あり(最低賃金以上) | あり(賃金ではなく工賃) |
利用期限 | 定めなし | 定めなし | |
対象年齢 | 18歳以上65歳未満 | 18歳以上65歳未満 | 定めなし |
このように、就労支援は種類によって目的や内容が異なります。
ご自身の現在の状況や、これからどうしていきたいかなどによって、利用する支援を決めてみてください。
自分はどれを選んだらいいかわからない…という方は、市役所や相談支援事業所で相談したり、
ひとまずどこかへ見学に行き、話を聞いてみるのもよいでしょう。
上記でご説明した就労支援サービス以外にも、障害者手帳なしで利用ができるサービスがございますので、ご紹介いたします。
こちらも、就労のために役立つサービスとなっていますので、ぜひご活用ください。
上記の就労支援サービスと同時に利用することも可能です。
障害を持った方に対して、専門的なリハビリテーションサービスを行う施設になります。
就職や職場復帰を目指す障害のある方、障害者雇用を検討している、あるいは雇用している事業主の方、
障害のある方の就労を支援する関係機関の方に対して必要な支援を行います。
障害を持つ方が受けられるサービスとしては以下のようなものがあります。
・職業相談、職業評価
就職の希望などをお聞きした上で、
職業適性を評価し、どんな仕事に向いているか、就職活動の相談などに乗ってくれます。
・就職準備支援
就職に向けての準備を整えるための支援であり、
施設内での作業や職場対人技能訓練(JST)、グループミーティングなどを行い、
作業面や対人面での自分の得意不得意を知っていき、対処能力を高めていく訓練を受けることができます。
・リワーク支援
休職中の方に向けての支援です。
施設内でのストレスコーピングやコミュニケーショントレーニングなど色々なプログラムを通し、職場復帰を目指すことができます。
本人だけでなく、企業や主治医と連携をとりながら、支援を進めてくれます。
ただし、こちらに関しては国・地方公共団体・特定独立行政法人にお勤めの方は対象外となります。
障害のある方に向けて、就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う支援機関です。
国と都道府県から事業を委託された法人が運営しています。
就労のことだけでなく、生活面の事も相談することが可能です。
就業面と生活面の支援には、具体的に以下のようなものがあります。
就業面での支援
生活面での支援
就労移行支援から就職した後の定着支援は半年間で終了してしまうため、
その後は障害者就業・生活支援センターの定着支援を利用される方もいらっしゃいます。
ハローワークには、一般窓口だけでなく、障害者専門窓口もございます。
こちらも障害者手帳を持っていなくても利用することが可能です。
障害の専門的な知識を持った職員が担当制により、就職のサポートをしてくれます。
応募書類の作成や面接練習、働きたいと思う職場の実習開拓や、求人開拓、就職面接会などを行っています。
ハローワークには、障害を持った方専用の窓口が存在しています。
こちらの窓口の対象者は、「障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難な方」となっています。
障害者手帳を持っていなくても、利用することが可能です。
こちらの窓口では、障害について専門的な知識をもつ職員・相談員が配置されており、
仕事についての情報提供や、履歴書の添削、採用面接への同行、障害のある方を対象とした就職面接会の開催などを行ってくれますので、
積極的に活用してみることをおすすめします。
就労支援を受けるときには、メリットもありますがデメリットも存在しています。
これらを整理し、自分は就労支援を受けた方がよいのか、受けなくてもよいのか考えていきましょう。
就労支援を受けることで得られるメリットは、以下のようなものがあります。
毎日同じ時間に事業所に通うことにより、生活リズムがついてきます。
どこにも通うところがないと、家に引きこもりがちになってしまう方もいらっしゃると思います。
通う場所があることで、外に出る習慣がつきます。
障害がある方が働く上で欠かせないのは、自分の障害とどう上手く付き合っていくかです。
就労支援を利用することで、自分の障害の特性について知り、就労に活かすことができます。
どんな配慮をお願いしたいのか、どんな工夫があれば仕事に取り組めるのかなど、分析していきましょう。
色々な訓練や作業を通し、就職に役立つスキルを身につけることができます。
なかなかひとりで勉強したり、作業するのは続かないかもしれませんが、
事業所にはスタッフが常におりますので、わからないことはすぐに質問することができます。
事業所によってプログラムの内容や作業内容が様々で、得意としている分野が異なります。自分がやりたいと思う訓練や作業を行っている事業所を探してみましょう。
働くとなると、コミュニケーションをとることは必須になってきます。
スタッフや他の利用者との関わりを通し、コミュニケーションスキルを向上させることができます。
事業所によっては特にコミュニケーションに力を入れているところもありますので、
重点的に訓練していきたい方は、そういった事業所を探すのがおすすめです。
就労支援の事業所には、病気や障害に詳しいスタッフが在籍しています。
そのような、スタッフのサポートを受けながら訓練や作業に取り組めるという点も大きなメリットでしょう。
体調のことや日常生活のことでも、困ったことがあれば相談に乗ってくれます。
就労移行支援を受ける際のデメリットや注意点についてですが、こちらは以下のようなことが挙げられます。
・場合によっては利用料がかかることがある
就労支援を受けるために必要な費用は、9割を国や地方自治体が負担し、1割を利用者が負担する仕組みになっています。
前年度の収入によっては、負担額が発生する場合があります。
多くの方が無料で就労支援を受けておられますが、場合によっては利用料が発生します。
負担上限月額は、以下のように決められています。
生活保護生活保護受給世帯0円
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
低所得 | 市町村税非課税世帯 | 0円 |
一般1 | 市町村税課税世帯(収入が概ね600万円以下) | 9300円 |
一般2 | 上記以外 | 37200円 |
自分が利用料が発生するのかどうかについては、お住まいの自治体の障害福祉課にお問い合わせください。
・就労支援利用中は収入がない、もしくは少ない
就労支援を利用している間は、収入が得られないか、もしくは一般就労より収入が少なくなります。
就労移行支援を利用している間は基本的にアルバイトも禁止されているため、収入を得ることができません。
就労継続支援B型の場合は、工賃としてお金をもらうことができますが、少ない金額になります。
大阪府の1ヶ月の平均工賃額は13,681円(令和4年度)となっています。
就労継続支援A型は雇用契約を結ぶため、最低賃金が保障されていますが、それでも一般就労より少ない給与です。
就労継続支援A型の1ヶ月の平均給与額は、85,064円(令和4年度)となっています。
メリットやデメリットを踏まえ、就労支援を受けたいと思ったら、利用のための準備を進めていきましょう。
どのような手続きを踏めば利用できるのでしょうか!?利用までの流れを解説いたします。
まず最初にすべきこととして、就労支援を受ける際には「障害福祉サービス受給者証」が必要となります。
この障害福祉サービス受給者証を申請するためには、障害者手帳や医師の意見書などが必要になります。
そのため、現在医療機関にかかっていない方は、まず病院へ行き、医師の診察を受けましょう。
すでにどこかに通院しているという方は、次のステップへ進んでいってください。
必要な書類や手続き方法は、このようになります。
まずは、利用する事業所を決めましょう。
就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型のどの就労支援を利用するかもそうですし、
同じ種類の就労支援でも、事業所によって内容が異なります。
自分が利用してみたいと思う事業所のホームページをチェックしたり、見学や体験に行ってみましょう。
利用を始めてから、思っていたのと違った…とならないように、必ず実際に事業所に行き、雰囲気を確認するようにしましょう。
利用する事業所が決まったら、市役所や区役所の障害福祉課で申請を行います。
申請書などはこのとき窓口でもらえます。
市役所や区役所で必要な書類を提出しましょう。
自治体や利用者の状況によっても提出書類は多少異なりますので、申請時に窓口で何が必要になるか聞いておきましょう。
一般的には以下のような書類が必要になります。
医師の意見書は、普段通院している病院にお願いしましょう。
サービス等利用計画案は、相談支援事業所という事業所が作成する書類になります。
この書類は自分で作成することもでき、その場合はセルフプランと呼ばれます。
ひとりでサービスを上手く使っていくことに不安がある方は、
就労支援の利用と同時に相談支援事業所の利用も申請することを推奨します。
心身の状態を総合的に判断するための、認定調査というものが行われます。
こちらは市役所の職員であったり、市から委託された事業者が行います。
日中活動の状況や、介護の状況、サービス利用の意向ついてなどが聞き取られます。
認定調査の後に、市町村で審査があり、審査に通れば障害福祉サービス受給者証が発行されます。
お手元に届きましたら、障害福祉サービス受給者証を持って利用したい事業所へ行き、契約を交わしましょう。
契約できたら、いよいよ利用開始です。
スタッフとどのように利用していくか相談し、個別支援計画を立てて進めていきましょう。
ここまで、就労支援の種類や利用までの流れをご説明いたしました。
実際のところ、どんなふうに利用しているんだろう?と、すでに就労支援を利用されている方の体験談も気になりますよね。
いくつかの事例を紹介しますので、利用する際の参考にしてみてください。
20代前半の方で、就労経験がほとんどない方でした。
そのため、あまりビジネスマナーを知らなかったり、コミュニケーション面で課題があると感じておられました。
就労移行支援を利用する中で、ビジネススキルを身につけるために、
挨拶や報連相の練習、言葉遣いの練習をスタッフとしたり、他の利用者とコミュニケーションをとりながら訓練に取り組まれていました。
本格的な就職活動も今回が初めてでしたので、履歴書の書き方や面接練習なども重点的に行い、就職することができました。
事務職での就労を希望。以前は障害者雇用ではなく、一般枠での就労であり、
今回初めて障害者雇用で就職しようとされていました。
まずは自分の障害について知るところから始めました。
スタッフと一緒に自己分析を行ったり、企業にどのように障害について伝えるかを考えていきました。
就職活動は苦戦し、なかなか内定をもらうことができませんでしたが、一社一社スタッフと共に振り返りを行い、次の応募に活かしていきました。
約半年間の就職活動の末、希望している事務職での就労が決まりました。
元々就労移行支援を利用していましたが、なかなか体調が整わず、就労継続支援A型の利用を決められました。
就労継続支援A型を利用してからは、給与がもらえるということもあり、モチベーションがかなり向上し、週5日通所できる日も増えてきました。
通所ができるようになったことで自信もつき、精神的な落ち込みもかなり軽減し、
現在は就労継続支援A型で経験を積みながら、いずれは一般就労をしたいと頑張っておられます。
デザインの仕事がしたいと就労移行支援の利用を始めましたが、事業所をお休みすることや遅刻が多く、
なかなか就職活動を行うことができませんでした。
今の状態で一般就労をするのは難しいと本人が判断され、絵を描くことができる就労継続支援B型を利用することとなりました。
自分が好きな絵を描くことをずっとできるという点が合っていたようで、現在は週5日活動することができています。
体調が安定せず、利用期間を残すために就労移行支援の利用を終了し、就労継続支援B型の利用を始めました。
スタッフと一緒に見学や体験に行き、安心して通うことができそうな事業所を見つけ、利用を開始。
まずは週1日から少しずつ慣れていきました。
期間を気にせずに利用できることから、焦りがなくなり、無理のないペースで作業に取り組むことができています。
「自分のペースで作業することができて、就労継続支援B型の利用を決めてよかった」とお話しされていました。
現在は将来の夢もでき、その夢に向かって週5日通所すること、スキルを習得することを目標に活動されています。
いかがでしたでしょうか。
今回の記事では、
「グレーゾーンなどで手帳が取得できない」「世間一般では健常者と判断されてしまう方」
も就労支援を利用できるのか?
障害者手帳は必須なのか?ということや、就労支援を利用するためのステップなどをご紹介しました。
これから就労支援を利用しようと考えておられる方の参考になりましたら幸いです。
当日、ご相談者様が指定されたお時間に、
堺筋本町校・本町校・梅田校・大阪校、いずれかお近くの方をご選択の上、御越しください。
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