就労移行支援は一般就労を目指して利用する障害福祉サービスですが、利用すれば必ず就職できるわけではありません。
今回の記事では、なぜ就職できないことがあるのか、就職できなかった場合の対策や
その次のステップについてなどをご説明します。
就労移行支援を利用するからには、やはり就職したいですよね。
ですが、少なからず就職できない場合も存在します。
大きく言えば、「事業所と利用される方ご本人のミスマッチ」がその理由の多くを占めますが
具体的な就職まで結びつかなかった事の原因として…
と言ったものが、大きな理由として挙げられます。
では、実際にこれらの就労移行支援を利用しても就職できない場合をひとつづつ見ていきましょう。
体調が安定してきても、「なかなか実務的な訓練をさせてもらえない」、「学習できる内容が初歩的なものばかり」、「就職活動ができる段階であるのに、就職活動のサポートをしてもらえない」といったように、
事業所の支援内容が不十分である、または自分に合っていないという場合が考えられます。
どんな訓練ができるのか、どの程度のスキルが身につけられるのか、どの段階だと就職活動に進めるのかなどは、利用前にしっかり確認しておくのがよいでしょう。
支援内容に疑問を感じたらスタッフに相談してみたり、事業所の変更を検討するのも一つの手です。
サービスの質が高い事業所を利用していても、自分の特性と合っていなければ、就職が難しいケースもあります。
例えば、「専門的なスキル(パソコンやITなど)を学べることが売りの事業所がある場合」これを目的とする方にとってはとても良い事業所ですよね。
そこへ、前職で対人関係が理由で精神的にしんどくなり、退職してしまった方(仮にAさんとします)が利用するとします。Aさんにとっての課題は、対人関係やコミュニケーションスキルです。
そのため、どれだけ専門的なスキルを学んだとしても、コミュニケーションスキルを身につけなければ、上手くいかない可能性が高いです。
このように、事業所が得意としている支援と、自分に必要な支援に相違があれば、就職することが難しくなってしまうことがあります。
就職活動を始めるためには、色々な準備が整っている必要があります。
就労移行支援は2年間という期間が決まっていますので、2年間の間に準備をしておく必要があります。
この準備ができていないと、就職活動をしていても上手くいかず、就職が決まらなかったり、もしくは就職活動まで行きつくことができないということにもなりかねません。
就職活動までの準備とは、例えば以下のようなものがあります。
ひとつひとつ見ていきましょう。
就職するためには、体調が安定していることが必要です。
体調不良で事業所を休みがちになってしまうことが続いていれば、就職活動まで進むことができません。
障害者雇用で大切なのは、まずは勤怠の安定と言われています。
しっかり毎日出勤できることが大前提です。そのため、体調がまだ整っていない方は、就職できずに就労移行支援の利用期間が終了してしまうことになってしまいます。
こちらも、体調の安定と同様に大切になります。
昼夜逆転していたり、朝起きることができない方などは、決まった時間に出勤することが難しいですよね。
この場合も、そもそも就職活動まで進むことができないと考えられます。
自分が就職したいと思う職種に必要とされているスキルの獲得はもちろん大切です。
しかし、スキル習得に時間をかけすぎると、他の準備や就職活動の時間が短くなってしまいます。
どこまでのスキルを習得したいと思っているのか、どのくらいの期間で習得を目指すのか、それが現実的に可能なのか、などは、事業所のスタッフとよく話し合う必要があります。
自分はどんなことが得意で、どんなことは苦手なのか、どのようなことでしんどくなりやすいか、そのときの対処法などを整理し、知っておくことは、働く上でとても重要になってきます。
障害者雇用で働くことを検討されている方は、企業へ書類を応募するときにも障害について記載しますし、面接でももちろん聞かれます。
自分の障害について相手にわかりやすく伝えることができないと、企業も採用を不安に感じ、結果的に不採用が続くことになってしまいます。
ここまで、就労移行支援を利用しても就職できない場合があるということをご説明しましたが、
では、就職できない場合どうしたらよいのでしょうか?いくつか解決方法がありますので、解説を行います。
就労移行支援の利用期間がまだ残っている場合は、事業所を変更するという手があります。
現在の事業所の支援が不十分だと感じていたり、合っていないと感じている場合は、事業所を変更することで上手くいくことがあります。
事業所によって、得意としていることが違いますので、どんな事業所なら自分は上手くいきそうか、どんなことを学びたいか、考えながら次の事業所を探していきましょう。
事業所を変更する際は、必ず見学や体験に行き、実際の雰囲気を見て、ミスマッチが起こらないようにしていきましょう。
まだ、一般就労は難しいという方で利用期間を満期にしたくないという場合
就労移行支援以外にも、就労系の障害福祉サービスが存在しており、中でも就労移行支援A型、就労継続支援B型というものがあります。
就労継続支援A型は、病気や障害などで一般就労をすることが難しい方が利用できる障害福祉サービスです。雇用契約を結び、仕事を行います。
就労継続支援B型は、病気や障害などで、一般企業等で雇用契約を結んで仕事をすることが難しい方に就労の機会を提供する障害福祉サービスです。
就労継続支援A型と、就労継続支援B型の大きな違いは、雇用契約を結ぶか結ばないかです。
ど
ちらを選ぶかは、ご自身の体調や、出勤できる日数などによって決めていくのがよいでしょう。
就労継続支援A型は、雇用契約を結びますので、週5日の通所が基本になります。
週5日問題なく通えるという方は、就労継続支援A型を選ぶ方が多いです。
就労継続支援B型は、就労継続支援A型と異なり、週1日から利用することが可能です。
そのため、体調に不安がある方や、週5日通所するのは難しいという方でも利用していただけます。
就労継続支援も、事業所によって作業内容がかなり違いますので、ご自分の興味のある作業を取り扱っている事業所を探していくのがよいでしょう。
就労継続支援も見学や体験ができますので、利用を検討されている方は、一度見にいってみてもいいかもしれません。
就労継続支援の利用を迷っている方の中には、見学や体験に行き、実際の雰囲気を見てみると、良い意味で思っていたのとは違った、自分に合っていると感じたという感想を持つ方も多くいらっしゃいます。
悩んでいる方は、気軽な気持ちで見学に行ってもいいかもしれませんね。
職業訓練とは、就職に役立つ知識やスキルを習得できる公的な制度であり、無料で利用することができ「ハロートレーニング(ハロトレ)」とも呼ばれています。
職業訓練には様々なコースがあり、事務系、Web関係、IT関係、経理、医療事務、介護、エステ…など多岐にわたります。
職業訓練の中には、障害を持った方を対象とした訓練もあります。
職業訓練を受けたいときは、ハローワークで申し込みを行い、その後、書類選考や筆記試験、面接などを受け、受講可否が決まります。
就職するために習得したいスキルがある方は、職業訓練を選択肢のひとつとして検討するのもよいかもしれません。
自分で就職活動を進めていくという方法もあります。
自分で就職活動を行うときには、ハローワークや転職エージェントを利用していくのがよいでしょう。
ハローワークには障害を持った方専用の窓口があり、転職エージェントも、障害を持った方専用のものがあります。
障害者雇用を考えておられる方は、それらを利用して就職活動を進めていくとよいかもしれません。
就労移行支援以外にも、サポートしてくれる機関や制度が存在しています。
この項では、それらの支援機関をご紹介していきますので上手く活用しながら就職活動を進めていきましょう。
ハローワークの存在は、多くの方がご存じではないでしょうか。
ハローワークとは、厚生労働省が全国に設置している公的機関で、無料で利用することができます。
障害を持った方専用の窓口もございます。
この窓口は、障害者手帳を持っていない方でも利用は可能ですので、障害者手帳を持っていない方で、ご自身が対象になるかどうかわからない方は窓口にお問い合わせください。
ハローワークでは、求人の検索ができるだけでなく、自己分析のサポートや書類添削、面接対策のサポートなども行ってくれます。
地域障害者職業センターとは、障害を持った方に対する専門的な職業リハビリテーションサービスなどを行う機関です。
全国47都道府県全てに設置されており、無料で利用することができます。
具体的には、以下のようなサポートが受けられます。
どのような仕事が向いているか、得意な業務や苦手な業務を明確にし、職業適性を評価することができます。
自己分析にとても役立ちます。
障害者職業センター内での就労体験や、就職・復職に向けた講座を通し、就職に向けて準備をするものになります。
これらは、障害者職業センターに通所し行います。
障害福祉サービス(就労移行支援)を利用しながら通うことも可能で、色々な講座がありますので、お近くの地域障害者職業センターのホームページをチェックしてみるのもいいですね。
障害者就業・生活センターとは、障害のある方の「就業面」と「生活面」の一体的な相談や支援を行う公的機関になります。
まずは就業面での支援についてですが、
などがあります。
どんな仕事が向いているか、障害特性の整理、就労で不安なことや困っていることを相談できます。
就職した後も、長く働き続けられるようにスタッフが職場訪問をしたりして、困ったことがあれば相談に乗ってくれたり、本人、企業、障害者就業・生活支援センターの三者での面談を行ってくれたり、長く仕事を続けていけるよう働きやすい環境作りをしてくれます。
生活面での支援としては、生活習慣や健康管理についての相談や、住居、年金、余暇活動など地域生活に関する相談に乗ってくれます。
就労のことも生活のことも困っている、不安があるという方は、一度相談に行ってみるのもよいでしょう。
就職活動を行うのであれば、転職エージェントも大いに活用していきたいところですね。
今では様々な転職エージェントが存在しています。
中には、障害を持った方を専門としている転職エージェントもあります。
希望する求人を探してくれるだけでなく、障害についてどのように企業に伝えるかを一緒に考えてくれたり、それを踏まえて書類添削、面接練習を行ってくれます。
担当の方がついてくれるので、安心して活用ができると思います。
就労移行支援の利用期間は原則2年間となっています。
何かに没頭していると2年間って、長いようであっという間ですので、もしも就労移行支援を利用していて2年を経過してしまう場合は、どうしたらいいのか解説を行います。
原則2年間と決められている就労移行支援ですが、最大1年間の延長が認められる場合があります。
ただし、申請すれば誰でも利用できるわけではありません。
申請ができる方は、「期間の延長をすることで就労の見込みがある方」のみとなります。
そして、申請したからといって、必ず延長ができるわけでもありません。
申請後に市町村の審査があり、審査に通った方が、期間の延長ができるのです。
体調が整わず事業所になかなか通えていない方などは申請が難しいですが、「現在就職活動に取り組んでいるけどなかなか採用されなくて、もう少し期間があれば就職できるかもしれない…」という方は、延長申請を検討するのもひとつです。
延長を申請したい場合は、就労移行支援のスタッフにまずは相談をしてみましょう。
就労移行支援のスタッフとも相談し、延長するのが良いとなったら、就労移行支援から自治体に提出する書類があるため、それらを準備してもらい、申請してもらいましょう。
就労移行支援以外の障害福祉サービスに切り替えるという方法もあります。
その場合は、前述した就労継続支援の利用を始める方が多いです。
新たに受給者証の申請が必要となるため、就労継続支援を利用する場合は、お住まいの自治体の障害福祉課へ行き、受給者証の申請を行ってください。
事業所を決める際は、見学や体験に行って実際の作業をさせてもらい、続けていけそうか判断しましょう。
最後に、就労移行支援についてよく寄せられるご質問についてお答えします。
是非ご参考にしていただき、疑問点の解消のお手伝いができればと思います。
就労移行支援を受けた後の就職先ですが、事業所にもよりますが、就職できる業界はたくさんあります。
例えばWithYouですと、最近はこのような業界での就職がございました。
他にも多数の業界でみなさん就職されていますので、このように色々な就職先がございます。
どんな就職先があるかは、その就労移行支援事業所のホームページなどで公開されている事が多いので、気になる事業所があればチェックすることをおすすめいたします。
WithYouでは、こまめにブログの更新を行っております。
そちらでも、都度、就職者の情報を公開しておりますので、ぜひご覧ください。
そして、就職した後ですが、就職することも大切ですが、そこから長く働けるかどうかが重要ですよね。
就労移行支援を利用して就職した後のサポートですが、こちらは「定着支援」というものが受けられます。
就職してから半年間は、就労移行支援のスタッフが、仕事で困っていることはないか、相談に乗ってくれます。
何か困ったことが生じたら、相談することができるので安心して働くことができます。
必要に応じて本人、企業、就労移行支援の三者面談も行います。
気になる就労移行支援事業所の就職実績を確認する!
こちらに関しては、残念ながら就職率が低い事業所もありますし、高い事業所もございます。
就職率が低い=悪い事業所というわけではありませんが、やはり利用するなら実績のある事業所を選ぶ方が利用者としては安心ですよね。
この就職率や実績はどこで公開されているかというと、多くの事業所では、ホームページ上でご覧になることができます。
もしホームページに載っていないという事業所があれば、見学のときなどに質問すれば教えてくれるでしょう。
就職率も大切ですし、自分の就職したい業界への就職実績があるかどうかも、あわせてチェックしてみてください。
就労移行支援は、基本的に働いている方は利用することができません。
そのため、現在就労されている方で、転職のために就労移行支援を利用したいという方は働き続けるか?就労移行支援の利用を諦めるか?になります。
しかし、例外のケースもあります。
例えば、休職中の方で、職場復帰を目指す場合は、就労移行支援を利用することが可能な場合があります。
そして、そのような方の中で、最初は復職を目指していたけど、現在の職場に戻ることが困難とされた場合、転職の支援に切り替えるケースは存在しています。
休職中の就労移行支援の利用については、一度就労移行支援事業所にお問い合わせください。
就労移行支援は原則2年間という期間が決められています。
この2年間は一生の内での2年間です。
そのため、すでに2年間利用を終了されている方は、基本的には再度利用することはできません。ただし、期間がまだ残っている場合は、何度でも利用することが可能です。
また、ごく稀ですが、自治体によっては2年間利用した後、再度利用ができると認められるケースもございます。
WithYouでは過去に以下のような事例で利用が認められたケースがあります。
このような場合、自治体によっては期間がリセットされる可能性もあります。気になる方はお住まいの自治体の障害福祉課に問い合わせてみるのがよいでしょう。
今回の記事では、就労移行支援を利用しても就職ができない場合の理由や、その対策などをお伝えいたしました。
ご紹介したポイントなどをおさえながら、就職するために上手に就労移行支援を活用していただければと思います。
当日、ご相談者様が指定されたお時間に、
堺筋本町校・本町校・梅田校・大阪校、いずれかお近くの方をご選択の上、御越しください。
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