今回のコラムでは、「体調や生活リズムを整える事を目的とした自立訓練」と「生活リズムと合わせて一般就労を目指す為に利用する就労移行支援事業所」の違いについて
相談支援専門員であり、精神保健福祉士として就労移行支援事業でのサポートを行う私が出来るだけ詳しくそれぞれの違いや特徴について解説させて頂ければと思います。
といった方におすすめの記事となっておりますので、是非最後までご覧くださいませ♪
それでは早速ですが、自立訓練と就労移行支援の違いをまずは簡単にご紹介していきたいと思います。
大きく分けると上記の3つが主な違いとなります。
また、自立訓練には、機能訓練と生活訓練の2つがありますが、今回は生活訓練の方を中心にお話いたします。
まずは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援では、どのようなところに違いがあるのかそれぞれの違いを一つずつ見ていきましょう。
自立訓練(生活訓練)と就労移行支援は、共通する部分もありますが、大まかに言うと、
自立訓練(生活訓練)は「自立した生活のためのサポート」、就労移行支援は「働くためのサポート」というところが大きな違いとなります。
例えば、自立訓練(生活訓練)では、
食生活や生活リズム、金銭管理、体力作りなど生活の基礎的な部分の訓練を中心に行うのに対し、就労移行支援では、就労に必要なスキルの習得や、就職活動のサポートなどが中心となります。
自立訓練(生活訓練)と就労移行支援では、目的や支援の内容が異なりますので、当然の事ながら対象者も変わります。
簡単に言いますと、自立訓練(生活訓練)は「生活能力の維持や向上をしたい方」、就労移行支援は「就職を目指す方」が対象となります。
どちらも障害福祉サービスですので、障害のある方が対象です。
よく、障害者手帳がないと利用できないのか?というご質問をいただきますが、自立訓練(生活訓練)も就労移行支援も、障害者手帳を持っていない方でも利用することは可能です。
自立訓練(生活訓練)と就労移行支援は、どちらも利用できる期間が決まっています。
自立訓練(生活訓練)も就労移行支援も、利用期間はそれぞれ原則2年間までとなっています。
どちらも、早期に自立もしくは就職をすることができるように、このように期間が定められています。
利用料金についてですが、障害福祉サービスは、原則、国や自治体が9割を負担し、残りの1割を利用者が負担する仕組みとなっています。
そのため、前年度の所得によっては、利用料がかかる場合がございます。
自己負担額には、上限が設定されており、この上限は自立訓練(生活訓練)と就労移行支援のどちらも変わりはございません。
以下が、月の利用者負担の上限額になります。
区分 |
世帯の収入状況 |
負担上限月額 |
生活保護 |
生活保護受給世帯 |
0円 |
低所得 |
市町村民税非課税世帯 |
0円 |
一般1 |
市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) |
9,300円 |
一般2 |
上記以外 |
37,200円 |
自立訓練(生活訓練)とは、障害のある方が自立した日常生活を送ることができるように、
などの生活の基礎的な部分の訓練を行うところになります。
日常生活の中で困っていることや難しいと感じている部分を訓練していくところです。
それでは、内容や対象者について、詳しく見ていきましょう。
自立訓練には、機能訓練、生活訓練の2種類がございます。
機能訓練は、身体の機能を向上させることを目的としており、生活訓練は、生活能力の向上を目的としています。
そのため、機能訓練は主に身体障害や難病の方を対象としており、生活訓練は主に知的障害、精神障害、発達障害の方を対象としています。
自立訓練(生活訓練)とは、障害のある方が自立した生活を送ることができるよう、
生活能力の維持や向上を目指すことを目的とした障害福祉サービスです。
自立訓練で行うプログラムの内容は事業所によって異なりますが、
上記のようなことを中心としたプログラムが行われています。
具体的にどのようなプログラムを行っているかは、事業所によって様々ですのでご自身の課題や希望に合わせて施設を選ぶようにしましょう。
利用する際は、ホームページで見るだけでなく、実際に見学や体験へ行き、プログラムの内容を体験したり、事業所の雰囲気を見てみたりすることをおすすめいたします。
自立訓練(生活訓練)の対象者は、自立した生活を送るために、生活能力の維持や向上のための訓練が必要とされる障害のある方です。
例えば、
上記のような方が、対象者となります。
自立訓練(生活訓練)の利用期間は、原則2年間と定められています。
2年を超えて、さらにサービスが必要な場合については、市町村での審査会で必要性が認められた場合に限り、最大1年間(原則1回)の期間の延長が可能となります。
料金については、前年度の所得によって1ヶ月に負担する上限が変わります。
ほとんどの方は無料で利用されていますが、前年度の所得により、利用料が発生する場合がございます。
ご自身が利用料がかかるかどうかを知りたいという方は、お住まいの自治体の窓口にお問い合わせください。
就労移行支援とは、障害のある方が就職し、職場に定着できるように支援を行う事業所になります。
現在仕事に就いていない方が、就職を目指して利用したり、休職中の方が復職を目指して利用したりしています。
それでは、就労移行支援の目的や支援内容について詳しく見ていきましょう。
また、就労移行支援の対象者について詳しく解説している記事もございますのであわせてご覧ください。
就労移行支援の目的は、働くために必要な知識や技術を身につけて、一般企業へ就職することとなります。
事業所で行うことの内容としては、
上記のような内容がございます。
自立訓練(生活訓練)と同じように、事業所によって力を入れている分野が様々ですので、こちらも自分に合った事業所探しを行うことが大切です。
当校では、会計・事務スキルはもちろん、IT系などのプログラミングやwebデザイン、動画編集や英語といった様々な職業スキルの習得と合わせて
SST(ソーシャルスキルトレーニング)・CBT(認知行動療法)など、精神の方の職場復帰や一般就労に必要な訓練をより専門的に実施しております。
もし、週一回から徐々に慣らしていき一般就労に向けた訓練を行いたいという方は是非一度見学に来てみてください♪
就労移行支援の対象者は、一般企業への就職を目指している18歳以上65歳未満の障害のある方となります。
一般企業への就職を目指している方になりますので、福祉的就労(就労継続支援A型、就労継続支援B型での就労)を目指している方は対象となりません。
「一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者(65歳未満の者)」と国で定められております。
就労移行支援を利用できる期間は、原則2年間と定められています。
この2年間の利用期間を過ぎた場合、最大1年間期間の延長が認められる場合もありますが、自治体の審査などがあり、誰でも延長が認められるというわけではございません。
就労移行支援の期間が2年過ぎたらどうなるの?ということが気になる方は、ぜひこちらのコラムもあわせてご覧ください。
就労移行支援の利用料金についてですが、自立訓練(生活訓練)も就労移行支援も、利用者の自己負担額の上限が国によって定められています。
ほとんどの方が無料で利用されていますが、前年度の所得によっては、利用料が発生する場合もございます。
就労移行支援の利用料金についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのコラムもぜひご覧ください。
「生活の自立もしたいし、就職もしたい」という方で、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を一緒に利用したいという場合もあるかもしれません。
では、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援は併用することができるのでしょうか。
結論から申し上げますと、併用することは基本的にはできません。
一定の条件を満たせば、併用が認められる場合もございますが、
こちらは各自治体の判断となりますので、自分が住んでいる地域がどうか知りたい方は、お住まいの市区町村へお問い合わせください。
なお、厚生労働省からは、以下のような通達が出ております。
日中活動サービスについては、その効果的な支援を図る観点から、
通常、同一種類のサービスを継続して利用することが一般的であると考えられるが、障害者の効果的な支援を行う上で市町村が特に必要と認める場合には、
新体系、旧体系を問わず、複数の日中活動サービスを組み合わせて支給決定を行うことは可能である。
なお、複数の日中活動サービスの支給決定を受けている場合でも、日中活動サービスに係る報酬は一日単位で算定されることから、同一日に複数の日中活動サービスを利用することはできない(同一日に同一サービスを異なる事業所で利用した場合を含め、同一日においては、一の事業所以外は報酬を算定できない。)。
ただし、市町村が日中活動サービスの利用と併せて宿泊型自立訓練が特に必要と認めた場合を除く。
自立訓練(生活訓練)は基本的に併用できませんが、宿泊型の自立訓練では、併用が認められるケースもございます。
もし、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援をどちらも利用したいという場合は、まず自立訓練(生活訓練)を利用し、その後に就労移行支援を利用することをおすすめいたします。
まずは自立訓練(生活訓練)で生活の基盤を整えてから、その後、就労移行支援で就労のための訓練を行うのがよいでしょう。
自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の2つを組み合わせて利用することで、体調や生活リズムを整え一般就労のスキルを身につけるなど段階的に訓練を行うことが可能となるのが最大のメリットと言えるでしょう。
まずは、自立訓練(生活訓練)で生活の基礎を整えてから、就労移行支援で就職のための訓練を行うことで、効果的に訓練を行うことができると言えます。
また、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を合わせると、
最大で4年間利用できる計算になりますので、「就職を目指しているけれど、2年間では就職できるか不安」という方は、
自立訓練(生活訓練)から利用を始め、体調や生活リズムが整った段階で就労移行支援の利用に切り替えることで、焦らずに就労を目指すことができます。
自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、両方のサービスを併用(順番に)利用したい場合の流れですが、自立訓練(生活訓練)から先に利用するようにしましょう。
(※体調や生活リズムが著しくなく外出が困難な場合など)
最終的には就労移行支援の目的は、就職することになりますので、順番としては、まずは自立訓練(生活訓練)で体調や生活を整えてから、就労移行支援を利用するのがよいでしょう。
但し、「まだ自信はないけどまずは就労移行支援で訓練してみたい」という方であれば、就労移行支援から利用してみるのもありです。
少し通ってみて、通所が安定しなさそうなら一度就労移行支援の利用を停止し自立訓練の利用に切り替えるのもおすすめです。
ご自身のそのときの体力などに応じてどちらからスタートするかを選びましょう。
ここからは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を組み合わせて利用する場合の利用の流れをご説明いたします。
具体的な利用の流れは以下の通りです。
また、就労移行支援の利用の流れについてもっと詳しく知りたいという方は、こちらのコラムにて、就労移行支援の利用の流れを解説しております。
あわせてぜひご覧ください。
まずは、自分が行きたい自立訓練(生活訓練)事業所を探します。
このとき、プログラム内容や所在地、事業所の雰囲気などを確かめ、ご自身の目で見学や体験に行き、実際の様子を見ることをおすすめいたします。
この段階では、まだ体調が整っていないという方もおられると思いますので、週何日から利用できるかという点も聞いておくのがよいでしょう。
事業所によって、力を入れているプログラムは様々です。
ご自身が高めたいと思うスキルの、訓練プログラムを取り扱っている事業所を探しましょう。
利用したい自立訓練(生活訓練)事業所が決まったら、お住まいの自治体の窓口で申請を行います。
自立訓練(生活訓練)や就労移行支援を含む、障害福祉サービスの利用には、「障害福祉サービス受給者証」というものが必要になります。
お住まいの地域の市役所や区役所にて、この手続きを行いましょう。
窓口は、障害福祉課や生活支援課などという名称が多いですが、
自治体によって名前が異なりますので、どの窓口へ行けばよいかわからない場合は、総合案内などで質問してみるのがよいでしょう。
ご自宅に障害福祉サービス受給者証が届いたら、利用予定の自立訓練(生活訓練)事業所へ持っていき契約を交わすと、いよいよ訓練スタートです。
この後、就職を目指す場合は、あらかじめ就労を目指していることや、就労移行支援の利用を考えていることを職員へ伝えておくのがよいかと思われます。
目標を伝えておくことで、それに合わせて自立訓練(生活訓練)で行うプログラムを組んでもらうことができます。
自立訓練(生活訓練)で十分なサポートを受け、就労移行支援を利用できる段階になったら、就労移行支援を利用したいこと、いつ頃に自立訓練(生活訓練)を終了したいかを職員へ伝えましょう。
そして、就労移行支援へ移る準備を行います。
自立訓練(生活訓練)を辞めてから就労移行支援の事業所探しを行うと、
その間は支援を受けることができない状況になりますので、自立訓練(生活訓練)を利用しながら就労移行支援を探すことを推奨いたします。
就労移行支援事業所を選ぶ際は、プログラム内容だけでなく、就職率や定着率なども確認しながら自分に合った事業所を選んでいきましょう。
「自分にぴったりの就労移行支援を探したいけど、選び方がわからない…」という方は、ぜひこちらのコラムもあわせてご覧ください。
利用したい就労移行支援事業所が決まったら、現在利用している自立訓練(生活訓練)事業所へそのことを伝えましょう。
そして、いつまで自立訓練(生活訓練)を利用して、いつから就労移行支援を利用したいのかを話し合い、決めていきます。
利用終了日や利用開始日が決まったら、お住まいの自治体の窓口で申請を行いましょう。
その際は、窓口でも、いつまで自立訓練(生活訓練)を利用して、いつから就労移行支援を利用したいのかを伝えましょう。
そうすることで、障害福祉サービス受給者証の支給決定も、それに合わせてくれます。
※ギリギリで手続きを行うと、支給決定が間に合わない場合もございますのでお気をつけください
申請などを済ませ、自立訓練(生活訓練)の利用も終了したら、就労移行支援の利用スタートです。
就職へ向けての訓練に取り組みましょう。
もし、相談支援事業所も利用している場合は、担当の相談支援専門員の方に相談していただくと、事業所探しや手続きなどを手伝ってくれます。
また、その場合は、サービス変更の際に「サービス等利用計画案」の提出も必要となりますので、事業所を移りたいということを相談支援専門員に伝えておくようにしましょう。
では、早速ですが自立訓練と就労移行支援どちらを選ぶとよいか?について結論からご紹介していくと
自立訓練 |
体調が整わず、まだ外出も難しいという方 |
就労移行支援 |
週一回以上は通所が出来そうな体力があり、一般就労を目指したいと言う方 |
かなり、極端な表現ですが主に上記のような結論となります。
自立訓練(生活訓練)と就労移行支援どちらを選択するべきか?ですが、
ご自身の状況や体調、希望によって変えていきましょう。
就職を目指したいという方は、就労移行支援の方が向いていると言えるでしょう。
まずはしっかり時間をかけて体調を整えたいという方、自立した日常生活を送ることが目的だという方は自立訓練(生活訓練)の方が向いていると思われます。
どちらも利用できる期間は最大2年間となっております。
2年の間に就職するのは不安という方は、就労移行支援からではなく、自立訓練(生活訓練)から利用を始めた方がよいかもしれません。
それでは、具体的な選択の基準やポイントを見ていきましょう。
自立訓練(生活訓練)と就労移行支援どちらを利用するかですが、「生活面」と「就労面」どちらを重点的に訓練したいかによって決めるのがよいかと思われます。
具体的には、以下のようなポイントに当てはまる方は、自立訓練(生活訓練)の方が向いているでしょう。
【自立訓練に向いている方】
上記の方はどちらかといえば自立訓練に向いていてると言えるでしょう!
一方で就労移行支援に向いてる方は以下のとおりです。
【就労移行支援に向いている方】
というような方は、どちらかと言うと就労移行支援の利用を検討されてもよいかと思います。
ご自身の目的や体調に合わせて、自立訓練か就労移行支援どちらか、自分に合った方を選ぶようにしましょう。
それでは、最後に当校WithYouでの過去の事例から、実際に自立訓練(生活訓練)を利用した後に就労移行支援を利用し、就職が決まったケースを見ていきましょう。
今回のケースは、うつ病で退職され自立訓練→就労移行支援と段階的な利用から一般就労へ社会復帰された方の事例です。
【うつ/30代/男性】
うつを発症したことで、仕事を退職することになり、家でひきこもる生活がしばらく続きました。
「今の生活をなんとかしたい」という思いから、自立訓練(生活訓練)の利用に繋がり、まずは外に出る練習から始めるため、週1日からの通所をスタートしました。
外出をあまりすることなく過ごされていたため、体力も落ちていましたが、通所を継続することで少しずつ体力が戻り、通所日数も増やすことができました。
事業所内では、体調についての相談や、生活習慣の見直し、自分のことや病気について知るためのプログラムなどを行っておられました。
「休まずに通所ができる!」と自信がついた段階で、就労移行支援の利用を決意し、自立訓練の職員のサポートを受けながら事業所探しを行い、就労移行支援の利用へと移りました。
就労移行支援では、パソコンスキルを学びながら、会社でのコミュニケーションの練習や、障害特性の整理などを行いました。
自立訓練を利用したことで、通所が安定していたこと、自己分析もある程度行えていたことから、就労移行支援での活動もスムーズに進んでいったのだと思います。
働く上でご自身の課題となっていた部分をひとつひとつクリアし、就職活動を始め、応募書類の添削や面接練習、面接の振り返りなどを行い、ある企業より内定をいただき、就職することができました。
この方のケースでは、自立訓練で生活リズムをしっかり整え、ある程度休まずに通所できるようになってから就労移行支援を利用したことで、就労移行支援を有効活用できました。
今回は、自立訓練と就労移行支援の違いや、どちらを選んだ方がよいか?について解説を行いました。
WithYouでは、「就労移行支援と自立訓練、どちらがいいか迷っている」という方のご相談も受け付けております。
また、当校では週に一回からの通所から徐々に就職に向けてサポートさせて頂くと言う方もたくさんいらっしゃいます。
まだ、安定して通所できるかわからないとお悩みの方でも、是非一度、見学にお越しいただき現在のご状況やお悩みなどお話ししていただければと思います。
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