「就労移行支援って、工賃はもらえるの?」と疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
就労移行支援は、障害や病気を持った方が一般就労や障害者雇用枠での就職を目指すための支援を提供するサービスですが、経済的なサポートがどうなっているのかは気になりますよね。
特に、工賃はもらえるのか、あるいは給与との違いは何か、
そして就労継続支援と就労移行支援の違いなど、正しい情報がないと不安を感じる方もいるでしょう。
この記事では、就労移行支援と工賃についての疑問にお答えし、
さらに就労継続支援との違いや、支援中に知っておきたい経済的なサポートまで詳しく解説します。
これから支援を利用しようと考えている方や、今後の生活に不安を抱えている方にとって、
この記事が参考になれば幸いです。
【結論:原則はもえません!!】
就労移行支援に通っている方の中には、「工賃がもらえるのか?」という疑問を持つ方も多いと思います。
結論から言うと、就労移行支援では工賃は支給されません。
就労移行支援は、利用者が一般就労を目指すための支援を提供する障害福祉サービスであり、
作業を通じた収入を得るための場ではないのです。
しかし、他の就労支援サービスと混同されることがあり、
特に「就労継続支援」との違いが分かりづらい点もありますので、その点についても詳しく解説していきます。
「工賃」という言葉は聞いたことがあっても、実際にどういったものかご存知でない方もいるかもしれません。
工賃とは、障害者福祉サービスの一環として、
就労継続支援事業所などで作業を行った際に支払われる報酬のことです。
ただし、一般的な「給与」とは異なり、工賃は労働基準法に基づく最低賃金の対象外です。
工賃は就労継続支援事業所の売り上げや経費などの状況によって変動し、
必ずしも安定した収入源として期待できるものではありません。
就労移行支援では一般企業などへの就労を希望する障害を持たれている方に対して、
就労するために必要な知識や能力を向上するための訓練が受けられます。
労働がないため、工賃や給与は支給されません。
一方で、就労継続支援事業所(A型・B型)では工賃が支給されます。
就労継続支援A型では、利用者が事業所と雇用契約を結び、
都道府県ごとの最低賃金以上の給与が支払われるのに対し、
就労継続支援B型では工賃という形で報酬が支払われます。
B型は雇用契約を結ばないため、労働基準法の適用外となりますが、
それでも作業の対価として工賃が支払われることになります。
就労継続支援B型では、利用者と事業所で雇用契約を結ばないため、
最低賃金を支払う必要がありません。
また、工賃の支払いB型事業所の生産活動の利益(売上から経費を引いた金額)から支払わなければなりません。
原則として給付費から工賃を支払うことはできません。
また、利用者1人当たりの平均工賃の金額は月額3,000円以上と定められています。
そのため、支払われる工賃の金額は事業所によって異なります。
B型事業所の収益や運営状況によって工賃が変動します。
さらに、作業時間や内容、利用者のスキルレベルなども工賃額に影響を与えることが多いです。
就労移行支援と就労継続支援の大きな違いは、目的と支援の内容です。
就労移行支援は、利用者が一般企業に就職することを目指して訓練や支援を提供するサービスです。
一方、就労継続支援は、一般就労が難しい障害を持たれている方のために、
A型とB型に分かれて、それぞれに応じた社会参加を支援します。
就労移行支援と就労継続支援A型・B型の違いは、
主に支援の目的と報酬のあり方にあります。
就労移行支援 | 一般企業への就職を目指すための訓練やサポートを提供する事業所。
原則:工賃や給与は支給されない。 |
就労継続支援A型 | 利用者と雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が支払われる。 |
就労継続支援B型 | 雇用契約を結ばず、工賃という形で報酬が支払われる。 |
就労移行支援と就労継続支援A型・B型には、それぞれメリットとデメリットがあります。
就労移行支援のメリット:一般企業への就職を目指すため、
就職後の給与は高くなる傾向にあります。
デメリットは、利用期間中に工賃や給与が支給されない点です。
就労継続支援A型のメリット:雇用契約を結び、最低賃金以上の収入が得られる点。
デメリットは、一般就労に比べると賃金が低い場合があることです。
就労継続支援B型のメリット:雇用契約がなくても働ける柔軟な環境。
デメリットは、工賃が低く、安定した収入を得るのが難しい点です。
就労継続支援A型およびB型では、工賃や給与の支給が行われていますが、
その内容や金額はそれぞれ異なります。ここでは、A型とB型の工賃や給与の平均額、さらに具体例を見ていきましょう。
就労継続支援A型では、雇用契約を結び、利用者には最低賃金以上の給与が支払われます。
平均的な月収は地域や事業所によって異なりますが、
令和4年度の大阪府の平均賃金額は85,064円です。
ただし、一般就労と比べると賃金が低めになることが一般的です。
就労継続支援A型では、一般企業と同じように雇用契約を結び働くことができるため、
最低賃金以上の給与が支給されます。
このA型の支援では、企業での就業に準じた給与が支払われるため、
一般的には月額で10万円から15万円程度が相場となります。
具体例として
時給1065円、週5日、勤務時間10時〜15時半(1時間休憩)月22日勤務の場合
月々約105,435円となります。
A型での給与は、利用者の能力や業務内容、勤務時間に大きく影響されます。
ですのでしっかりと働くことで、一定の収入を得られることが魅力の一つです
就労継続支援B型では、雇用契約を結ばずに工賃の支給が行われます。
令和4年度の大阪府平均工賃額は月額13,681円です。
1時間あたりの平均工賃額は222円です。
これは地域や事業所の収益によって大きく異なるため、工賃が1万円未満のところもあれば、
それ以上の金額を支払っている事業所もあります。
これは、A型に比べて労働の強度や内容が軽度であることが影響しています。
B型では、雇用契約が結ばれないため、
工賃は生産物の販売や作業の実績に応じて支払われます。
そのため、利用者がどの程度の作業を行ったかによって、工賃は変動します。
自分のペースで働きながら、収入を得ることができる点が特徴です。
就労移行支援を経て一般企業に就職した場合の給与額は、雇用形態や企業によって異なります。
精神障害者の1ヶ月の平均賃金は149,000円です。
週の労働時間毎の場合
就労移行支援で訓練された方は週5日通所ができ、
体力的にも安定している状態で就職される方が多く、193,000円以上の給与を得ている方が多いです。
障害者雇用枠でも、フルタイムで働く場合は一般の労働者と同じ給与体系が適用されるため、
就労継続支援A型B型の給与・工賃と比較してもかなり高い収入が見込めます。
厚生労働省:令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書
2024年4月の法改正により、就労継続支援B型の工賃月額の向上を目的とした報酬体系の見直しと、
人員配置6:1の報酬体系の追加、生産活動の収支差率をふまえた基本報酬の見直し、
短時間利用減算の新設、目標工賃達成加算の新設が行われました。
このことにより、
利用者の生産性が事業所の評価にさらにメリハリをつけて反映されるようになりました。
就労継続支援B型事業所はより効率的な運営を目指し、
目標工賃を達成するために手厚い人員配置を行っていくことが評価されるようになります。
また、今回の法改正で検討された内容で、
障害特性により利用日数が少ない方を多く受け入れる事業所について、
平均利用者数をふまえた新しい平均工賃月額の算定式を導入してはどうか。
という内容が取り上げられました。
現状では、利用日数が少ない利用者を多く受け入れると工賃支払い対象者が多くなり、平均工賃月額が下がります。
すると、基本報酬の単価が低くなり、
B型事業所の経営が困難になることが考えられます。
今回検討された内容が実現すると、
より多様な利用者のための支援が提供しやすくなるのではないでしょうか。
就労移行支援に通いたい場合は
このような流れになります。
更に詳しい内容はこちらの記事でご確認ください。
就労移行支援の利用の流れを事業所が徹底解説!【利用までに確認したいことも!】
厚生労働省によると、
「就労を希望する方で、単独で就労する事が困難な者」とあり
就労移行支援とアルバイトの両立は原則禁止と言う解釈になります。
ですが、役所の判断でアルバイトが可能になるケースもありますので、確認が必要です。
更に詳しい内容はこちらの記事でご確認ください。
就労移行支援はアルバイト禁止?本当に無理なのか市役所に聞いてみました!
就労移行支援中は、基本的に収入が得られないため、生活費の確保に不安を感じる方も多いでしょう。
例えば、障害年金や生活保護の利用を検討することができます。
就労移行支援事業所のスタッフは、こうした公的支援の手続きについてもアドバイスしてくれるので、
不安な点は事前に相談してみましょう。
また、就労移行支援の利用中は通所にかかる費用がかかる場合がありますが、
所得に応じて減免される制度もありますので、詳細を確認しておくことをお勧めします。
就労移行支援を利用している間に収入が得られないことは、
経済的な不安を感じる原因になるかもしれません。
しかし、工賃の代わりに利用できる公的サポートがあります。
その中でも特に代表的なのが「障害年金」と「生活保護」です。
【障害年金】
障害年金は、障害を持つ方が一定の条件を満たしている場合に受給できる年金です。
これは障害の程度や状況によって受給金額が異なりますが、
就労移行支援を利用する方にとって、生活費を補う重要な収入源となることが多いです。
障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書などで申請が可能な場合があります。
受給に関する手続きは、
支援事業所のスタッフや市区町村の福祉課に相談することが推奨されます。
【生活保護】
収入が著しく低い場合、生活保護を受けることが可能です。
生活保護は、必要最低限の生活費を補うための制度で、就労移行支援中に経済的に困難な状況に陥った場合に申請することができます。
支給額は家族構成や地域によって異なるため、まずは自治体の担当者に相談してみましょう。
これらのサポートを受けながら就労移行支援に通うことで、
経済的な不安を減らし、就職活動に集中することができます。
就労継続支援から就労移行支援を利用された方の体験談をご紹介します。
この方は元々就労継続支援B型を利用していたものの、
工賃が低く、安定した生活を送るには難しい状況でした。
この方は事業所の支援を受けながら、
徐々に作業スキルを身につけ、生活リズムが安定しました。
さらなる成長を目指して就労移行支援に移行しました。
就労移行支援では、自己理解を深める講座の参加や履歴書の書き方や面接練習、
実際の企業での就労体験などを通じて、就職に向けたサポートが行われました。
その結果、この方は障害者雇用枠での採用が決まり、月収は約18万円となりました。
工賃と比べて大幅に収入が増え、安定した生活を送ることができるようになったのです。
それでは、今回のまとめとして
まず、就労移行支援事業所において「工賃は支給されるのか?」
一部例外はございますが、基本的には工賃などの支給はございません!!
就労移行支援は、就労を目指すためのスキルアップや訓練を目的としているため
工賃や、給与が支給される。福祉就労を希望される場合は「就労継続支援事業所A型」、または
「就労継続支援事業所B型」の利用をご検討ください!!
ただし、一般就労が可能と見込まれる場合は、制度上「就労移行支援事業所」の利用が推奨されていますので
悩まれている方は、まず当校のような移行支援に相談することをお勧めします。
就労移行支援と就労継続支援には、それぞれ異なる役割があります。
就労移行支援では工賃が支給されない一方で、一般企業への就職を目指すためのサポートが充実しており、
就職後の給与は工賃よりもはるかに高い傾向にあります。
一方、就労継続支援A型・B型では、工賃や給与が支給されるため、
短期間で収入を得たい方、社会参加されたい方に向いています。
最終的な選択は、
個々の状況や目標に応じて決めるものですが、どの支援を利用するにせよ、
しっかりと情報を集め、専門家と相談しながら進めていくことが重要です。
就労移行支援や就労継続支援を活用し、よりよい就労環境を手に入れ、
安定した生活を送るための一歩を踏み出してみてください。
当日、ご相談者様が指定されたお時間に、
堺筋本町校・本町校・梅田校・大阪校、いずれかお近くの方をご選択の上、御越しください。
実際の見学会・説明会の風景です。
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