精神障がいや発達障害をお持ちで、就労移行支援に興味があるけど、
実際に「どんなところか?」「どんな人に向いてるか?」「実際にどんな事をするところなのか?」どこも難しくてわからない…という方も多いのではないでしょうか!?
そこで、「自分は向いているのか?」「対象者なのか知りたい」と言う方に向け、実際に現場で精神保健福祉士として支援者をさせていただいており、相談支援業務にも当たっている私が、初めての方でもわかりやすく解説していきます。
この記事を通して少しでも、多くの方に就労移行支援での内容などを知っていただき、使いたいと思っていただければ嬉しいです。
就労移行支援とは、とても簡単にいうと精神障がい・発達障がい・難病などがあり働くのが難しいという方が就職するためのスキルを磨き自分らしく働く事を目指す職業訓練のような通所型の就労支援施設です。
例えば、うつ病などで休職中の方や発達障害などで働くことに課題を抱えている方が
通所や心理プログラムを通して、体調やメンタルのコントロールを図ったり
また、就労移行支援事業所ごとに提供される専門講座やサービスによってその人の目指す職種への転職や就職活動をサポートいたします。
このように、国や各自治体より指定を受けた就労系の福祉サービスであり、それらのサービスは「障害者総合支援法」という法律に基づき運用されています。
障害や難病を持っている65歳未満の方が対象となります。障害については、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害が対象となります。障害者手帳は必須ではありません。
身体障害の一例
精神障害の一例
発達障害の例
難病
厚生労働省により定められた対象となる難病は現在369疾病です。対象の疾病は以下で確認することができます。
また、一般就労を希望している方が対象です。
就労移行支援を利用することで受けられるサービス内容は、大まかに以下のようなことになります。
就労のための体力づくりや、就労に役立つスキルの習得を行います。スキル習得については、自分が就職したい業界に必要なスキル(事務スキル、IT関係のスキル、デザインのスキル、会計のスキルなど)やコミュニケーションスキルなどです。
自分の障害についての理解を深め、どのような仕事や環境なら働きやすいのかを考えていきます。しんどくなったときにどのように対処していくのかも考え、就労後のストレス対処法も身につけていきます
企業実習を行い、実際の職場で自分がどのくらい動けるのか、どんな作業が得意でどんな作業が苦手なのかなどを知っていきます
履歴書、職務経歴書、自分の障害について記載するナビゲーションブックなど応募書類の添削や、面接練習を行います
就職してからも、長く働けるように就職後6か月間は定着支援があります。困ったことがあれば事業所に相談したり、必要に応じて、本人、企業、就労移行支援事業所の職員で三者面談を行うこともあります。
具体的にどのようなことを行うかについては、事業所によって様々なので、自分が訓練していきたいと思うことを重点的に行っている事業所を探していきましょう。
冒頭でもお話しした通り、就労移行支援事業所によって得意としている職業訓練の内容は様々であり
例えば、当校WithYouでは以下のような専門スキルを学習することができます。
など、様々なスキルや資格の習得をサポートできる環境を整えることでより多くのチャレンジができるようにと考えています。
他にも、大阪府にはITプログラミング専門特化した就労移行支援や発達障がいのある方のみに特化した事業所などもございます。
ですから、これから就労移行支援事業所の利用を検討している方は、体験や見学を通して自分の希望に合った就労移行支援事業所を見つけるようにしましょう!
就労移行支援の最大利用期間は原則2年間(24ヶ月間)となります。
一般的には、体調を整え就職スキルを学び職場復帰の準備を整え、この標準利用期間の間に就職を目指します。
当校の体感としては、半年から1年間の間に就職準備を整え就職される方が多い印象です。
また、復職など早い人では1ヶ月から3ヶ月で就職される方も中にはいらっしゃいます。
この定められた2年の間で就職できるよう、計画を立て支援を行うのですが、もし2年の間に就職できなかったらどうなるのでしょうか。
2年間の間に就職ができない場合、利用期間の延長を申請することができます。
この延長は、自治体により認められた場合に限り行われます。
ただし、ここで注意していただきたいのは、申請すれば誰でも延長できるわけではないというところです。
利用期間を延長することで就職の見込みがあると市区町村が判断した場合にのみ、最長12か月の延長が認められます。
決められた期間内での就職が理想的ですが、家庭の事情や体調の変化でやむなく期間が足りなくなった場合や延長を行うことで就職が見込まれると、自治体に判断されれば延長は認められるケースも珍しくありません!
ですが、あくまでも最終的な判断はお住まいの自治体の判断に委ねられます。
就労移行支援を利用したけど退所して時間が経ってから再度利用する場合や、
一度就職したけど退職してもう一度就労移行支援を利用する場合など、就労移行支援の2度目の利用をすることもあるかと思います。
このような場合、2年の間の残り期間のみ利用できるのか、それとも期間がリセットされるのか気になりますよね。
実際に体感として、一度就職され一定の期間を働かれていた方で再発された場合や
利用期間に残りがなく、再度利用する事で社会復帰が可能と見込まれる方に関しては
2年間のリセットが認められるケースもそれなりにございます。
こちらも、最終的には自治体の判断によりますし自治体によって対応が異なりますので、お住まいの自治体の障害福祉課に確認していただくのが確実です。
就労移行支援には、事業所毎の単価や通所日数によって利用料が定められています。
ですが、国により負担を軽減してくれるため利用される方は負担額がない(無料で利用できる)場合や一部負担する場合がございます。
また、自己負担額には上限が設けられていて前年の世帯収入によって、その負担額は異なります。
ここで言う世帯とは、本人と配偶者のことです。前年の世帯収入に応じてひと月あたりの負担上限月額が定められています。
負担上限月額を超えて利用料金を支払うことはありません。負担上限月額は、以下のように決められています。
区分 |
世帯の収入状況 |
負担上限月額 |
生活保護 |
生活保護受給世帯 |
0円 |
低所得 |
市町村税非課税世帯 |
0円 |
一般1 |
市町村税課税世帯(収入が概ね600万円以下) |
9300円 |
一般2 |
上記以外 |
37200円 |
利用料金は、9割を自治体が負担し、残りの1割を利用者が負担する仕組みとなっています。就労移行支援に一回通所するごとに利用料金が発生します。
月の利用料金の計算方法は
約500~1200円/日×利用日数
となります。
約500~1200円と幅があるのは、就職定着者の人数によって利用料が異なってくるためです。就職定着者を多く出している事業所は利用料が高く、就職定着者が少ない事業所は利用料が安くなる仕組みです。
参考:厚生労働省「障害者の利用者負担額」
就労移行支援を利用している間は原則アルバイトなどは禁止となっています。
前提として、就労移行支援は一般就労を目指すための障害福祉サービスであり、一般就労などを目指し社会復帰を目指すことを目的としています。
そのため、アルバイトだったとしても「働くことができていれば、就労移行支援の利用は必要ない」とみなされてしまうのです。ただし、自治体により例外もあります。
どうしても金銭的に厳しいなど、アルバイトをしなければならない理由がある方は、就労移行支援事業所の職員に一度相談してみてください。事業所の職員から自治体に事情を説明し、アルバイトが可能か問い合わせてくださります。
実際にWithYouでも、短時間のアルバイトを行いながら事業所を利用するケースが見られています。
アルバイトが可能かどうかは自治体の判断になりますので、お住まいの自治体の判断に従ってください。
就労移行支援を利用している間は収入を得ることができない状況となります。
経済的に厳しいという方も多くいらっしゃるでしょう。就労移行支援を利用したいけど経済的な問題で難しくて悩んでいる方に向けて、経済的な支援が受けられる方法をご紹介いたします。
傷病手当金は、病気やケガで仕事を休まなければならないときに支給されるものです。休職中で就労移行支援を利用している方は、受給資格があるかどうかぜひ確認してみてください。
失業保険とは、仕事を退職した方が失業中の生活の心配せずに一日でも早く再就職を行うための支援として支給されるものになります。
この手続きは、ハローワークで申請を行うことができます。
障害年金とは、病気やケガによって生活や仕事が制限される場合に受け取ることができる年金です。
また、障害者手帳を持っていなくても申請することが可能です。
生活保護とは、生活に困窮している方に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立した生活が送れるように援助する制度です。申請はお住まいの福祉事務所で行うことができます。
詳しくは就労移行支援に通う際にお金がないときはどうする?利用できる障害者貸付制度も解説の記事で解説していますので、よろしければご覧ください。
ここで挙げたもの以外にも経済的な支援はございますので、そちらも解説しております。
就労系の障害福祉サービスの中には、就労移行支援だけでなく就労継続支援というものがあります。
就労移行支援が就労のためのスキル習得や就職活動のサポートを行う障害福祉サービスであるのに対し、就労継続支援は就労の場所を提供する障害福祉サービスとなります。
就労継続支援は、一般企業で働くことが難しい方を対象に、就労の機会を提供し、知識や能力の向上を目的とした障害福祉サービスです。
就労継続支援には、A型とB型の2種類があり、それぞれ違いがあります。
就労継続支援A型と、就労継続支援B型の大きな違いは、雇用契約を結んでいるかどうかです。それぞれについて、解説していきます。
就労継続支援A型は、雇用契約を結び、就労の機会や生産活動の機会を提供します。雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給与が支払われます。
雇用契約を結ぶため、一週間に20時間以上働くことが必要です。そのため、基本的には週5日通所できる方が利用されます。
a型と違い雇用契約を結んで仕事をすることが難しい方に対して、就労の機会や生産活動の機会を提供します。週一日からの利用が可能です。
給与ではなく「工賃」という形で金銭が支払われることが多いです。
また、就労移行支援と就労継続支援a型とb型の違いを簡単にまとめた表がこちらになります。
|
就労移行支援 |
就労継続支援A型 |
就労継続支援B型 |
目的 |
一般就労するために必要なスキルを身につけていく |
就労の機会の提供、生産活動の機会の提供 |
就労の機会の提供、生産活動の機会の提供 |
対象者 |
障害を持っている方、難病を患っている方で、一般就労を希望する方 |
一般就労することは難しいが、雇用契約を結んでの就労が可能な方 |
一般就労することが難しく、雇用契約を結んで働くことも難しい方 |
年齢制限 |
65歳未満 |
65歳未満 |
なし |
利用期間 |
原則2年間 |
期限なし |
期限なし |
雇用契約 |
なし |
あり |
なし |
賃金 |
なし |
給与(最低賃金以上) |
工賃 |
上記を参考に、ご自身の目的や状態にあった就労系サービスの利用を心がけましょう。
ハローワークも就職活動を行う方はよく耳にする言葉ですね。では、就労移行支援との違いはどのようなところにあるのでしょうか。
ハローワークでは、主に以下のようなことができます。
また、障害を持っている方の専用の窓口もあります。
就労移行支援では、主に以下のようなことができます。
違いについて、簡単にわかりやすく表にしたものが以下になります。
|
就労移行支援 |
ハローワーク |
費用 |
収入に応じて発生 |
無料 |
利用期間 |
原則2年間 |
なし |
年齢制限 |
65歳未満 |
なし |
就労に向けた訓練 |
あり |
なし |
就職活動の支援 |
あり |
あり |
雇用保険の手続き |
不可能 |
可能 |
求人情報の提供 |
場合による |
あり |
定着サポート |
あり |
なし |
こうして見ると、就職活動の支援を行うのは共通ですが、就労移行支援では障害特性について深く理解できるように支援したり、就労に必要なスキルを身につけることができる場所であるのに対し、ハローワークは自主的に求人を検索して応募したり、失業保険関係の手続きができる場所であることがわかります。
それでは、就労移行支援を利用するのに向いている人とはどのような人なのでしょうか!?
その例を挙げていきますと
という方は、利用に向いている人と言えます。
逆に、自分は利用に向いていなかったという方が利用してしまうと、最悪の場合「意味がなかった」「無駄だった」「やめとけ」などの声に変わってしまい無駄な時間を過ごしてしまったり、トラブルに発展したりする場合もございます。
それでは、就労移行支援の利用に向いてる人について一つずつ見ていきましょう!
就職活動にひとりで取り組んでいるがなかなか就職できないという方は、就労移行支援のサポートを受けて就職活動を行ってみるのもよいでしょう。
応募書類の添削や面接練習だけでなく、自分の障害についてどのように企業に伝えるかを一緒に考えてくれます。
まだ就職するには体調が心配…体力に自信がない…という方は、就労移行支援を利用して少しずつ体調を整えたり、体力をつけていくのがよいでしょう。段階を踏んで通所日数を増やしましょう。
何か月目から通所の日数をどのくらい増やしていくのかなどは、職員と一緒に相談して決めることができます。
障害特性の理解を深めることも、就労に向けて重要となってきます。
専門的な知識を持った職員と一緒に、自分の障害がどのようなものなのか知っていき、得意なことを活かした就労ができるように就労移行支援ではサポートを行います。苦手なことがある場合は、どのような対処をすればよいのか、配慮事項はどのように企業に伝えればよいのか、一緒に考えていきましょう。
では、就労移行支援を利用するにはどのような流れで手続きをとればよいのでしょうか。就労移行支援を利用してみたいと思った方に向けて、解説を行います。
就労移行支援をはじめとする障害福祉サービスを利用するには、受給者証が必要となります。この受給者証は、お住まいの自治体の障害福祉課で申請することができます。
下記は、就労移行支援を利用するまでの流れの一例です。
①就労移行支援の見学へ行く
気になっている事業所の見学へ行きます。実際に事業所へ行き、職員から事業所の説明を受けましょう。就労移行支援は事業所によって、様々な特色があります。自分のやりたいことができる事業所なのか、確かめましょう。いくつかの事業所の見学に行き、比較するのがおすすめです。
②就労移行支援の体験に行く
見学に行った事業所の中で、体験してみたいと思った事業所はぜひ体験に行きましょう。実際に体験することで、一日の流れがわかったり、雰囲気を感じることができます。自分に合っているのか、続けていけそうかしっかり見ておきましょう。
③利用する就労移行支援を決める
自分に合っている、通いたいと思える、利用したいと思う事業所を決めましょう。
④受給者証の申請を行う
お住まいの自治体の障害福祉課で受給者証の申請を行います。申請から受給者証が発行されるまで1~2ヶ月かかることが多いため、利用する事業所が決まったらできるだけ早く申請に行くのがおすすめです。
⑤事業所と契約する
受給者証が届いたら、利用したい事業所へ持っていき、契約の手続きを行います。
これで就労移行支援を利用することができます。
就労移行支援事業所を利用する際は、ホームページを見て調べるだけでなく、必ず見学、体験に行くようにしましょう。そうすることで、自分に合わない事業所を避けることができ、自分に合った事業所を選ぶことができます。
実際に就労移行支援を利用した方がどのような感想を持たれたのか、利用してどうだったのか、気になりますよね。そこで、WithYouの利用いただいた方体験談をいくつかご紹介します。
【週1日の通所から生活リズムの調整し週5日の通所できるようになった事例】
最初は週1日通うのも体力もなかったししんどかったけど、通ううちに少しずつ体力がついてきて、通所する日数を増やして今では週5日通所することができた。自分が成長していることが実感できて嬉しい。
通所の日数を増やすタイミングは、職員さんが相談に乗ってくれ、自分の体調や家庭の状況も考えながら一緒に決めてくれた。
【資格取得を行う事で目標設定や自信につながったという事例】
事務職を目指しているので、基本的なパソコンスキルを身につけるためにワードとエクセルの勉強をしていた。MOSの資格取得を目指して頑張って勉強を続けて合格することができた。資格をとれたことで自信につながった。
次はどんな資格をとれば就職活動に有利になるのか職員さんと相談して、今は簿記の学習をしている。
【実習を通じて自分の苦手を発見できた!課題に向けて取り組めるようになった】
今は実習に行っている。実習では、軽作業や事務作業、調理補助もしている。色々な作業を体験することですごくいい経験になっている。
自分がどんな作業が得意でどんな作業が苦手なのかもなんとなくわかってきた。事業所に戻ったら職員さんと実習の振り返りをしているので、自己分析もできてきた。自分の課題が分かったので、これからどうしていくか考えていきたい。
【相談相手が出来た事で駆け込まなくなった、心が軽くなった】
困ったことやしんどいことがあったら、職員さんに聞いてもらっている。
丁寧に話を聞いてくれ、具体的なアドバイスをくれる。話を聞いてもらうだけでも気持ちがスッキリする。
ひとりじゃないんだなあと思えて安心する。
【応募書類や自己理解に向けて、誰かを頼るという選択肢を見つけられた】
今は就職活動をしている。応募書類の添削をしてもらって、ナビゲーションブックの書き方を教えてもらった。自分の障害特性をまとめるのは難しいけど、職員さんと相談しながら進めることができている。
面接まで進んだ企業もあるので、面接練習もしてもらっている。キャリアコンサルタントの方とも面談して、就職対策をしている。自分ひとりでは行き詰ってしまうけど、誰かに相談することで、色々な意見が聞けたり、こうしたらいいんだ!というのがわかってよかった。
今回は、就労移行支援とはどのようなところなのか、どんな方が利用できるのか、実際に利用している方の体験談など、就労移行支援についての解説を行いました。就労移行支援に興味を持たれた方は、ぜひ気になる事業所の見学へ行き、実際にお話を聞いてみてください。
当日、ご相談者様が指定されたお時間に、
堺筋本町校・本町校・梅田校・大阪校、いずれかお近くの方をご選択の上、御越しください。
実際の見学会・説明会の風景です。
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