就労移行支援のからくりを事業所が解説！通う前に理解しよう！

就労移行支援は、障がいや病気などによって自分の力だけでは就労が困難な方々が、

再び働く力を身につけ、安定した雇用を得るための支援を提供する障害福祉サービスです。

しかし、就労移行支援の運営システムや収益モデル、またその効果や実際の利用に関しては、多くの方が疑問や不安を抱いています。

これから就労移行支援の利用を考えている方や、現在利用中の方にとって、有益な情報を提供できればと思います。

この記事の監修者

就労移行支援の基本的な運営のシステム（事業所が解説）

就労移行支援事業所は、障害や精神疾患などの病気を抱える方々が再び働くためのスキルや知識を身につける場として機能しています。

こうした支援は、利用者の自立を促し、社会復帰をサポートすることを目的としています。

また、利用できる期間は原則2年間とされています。

就労移行支援の運営のからくりと収益モデル

就労移行支援事業所は、障がいを持たれている方や支援が必要な方の社会復帰や就労をサポートするための施設です。

この支援は、

ご利用者様が就労に至るまでのプロセスを支援することを目的としていますが、事業所はどのように運営され、収益を上げているのでしょうか。

就労移行支援の運営システムは、主に行政からの報酬と利用者からの利用料で成り立っています。

このように、就労移行支援事業所は、報酬や、利用料からの収益を通じて運営されています。

運営のからくりを理解することで、利用者やその家族は、どのように支援が提供されるのか、

またどのようにして質の高い支援を受けることができるのかを知ることができます。

事業所を選ぶ際の重要な判断材料にしてください。

収益モデルと主な収入源(どう運営が成り立っているか)

就労移行支援事業所の収益モデルは、いくつかの主要な収入源から成り立っています。

最も重要な収入源は、前述の通り行政からの報酬です。

参考：令和６年度障害福祉サービス等報酬改定の概要より令和６年度障害福祉サービス等報酬改定の概要（厚生労働省）P.144～

これにより、就職実績の多い事業所は質の高い支援を提供することができます。

もう一つの収入源は、利用者からの利用料です。

利用料は、利用者の収入に応じて異なり、収入が低い場合は自己負担額が少なくなります。

利用料は、事業所の運営を支える重要な要素であり、特に質の高い支援を提供するための人材確保や設備投資に充てられます。

さらに、一部の事業所では、企業との連携を通じた収入もあります。

例えば、企業に対して障がい者雇用に関するコンサルティングサービスを提供することで、追加の収益を得ることがあります。

こうした多角的な収益モデルを構築することで、事業所は安定した運営を行いながら、

利用者に対して質の高い支援を提供することが可能となります。

就労移行支援の利用者数と収益の関係は？

就労移行支援事業所の収益は、利用者数と密接に関連しています。

就労定着率が低下すれば、行政からの報酬単位も減少し、収益が減る可能性があります。

そのため、事業所は適切な利用者数を維持することが重要です。

過剰な利用者数を抱えることは、スタッフの負担を増やし、

一方で、利用者数が少なすぎる場合も、収益が減少し、事業所の運営が難しくなる可能性があります。

したがって、事業所はバランスを保ちながら、質の高い支援を提供するための最適な利用者数を維持することが求められます。

さらに、利用者の属性も収益に影響を与えます。

行政との関係と報酬の仕組み

就労移行支援事業所は、行政との密接な関係を維持することが不可欠です。

行政は、事業所が提供する支援の質や、利用者の就労定着率を評価し、それに基づいて報酬を支給します。

報酬の支給には、いくつかの基準があります。

また、行政からのフィードバックを受けて、支援の質を向上させることも重要です。

こうしたプロセスを通じて、事業所は持続可能な運営を実現し、利用者に対してより良い支援を提供することができます。

就労移行支援は時間の無駄？（無駄にならないために知っておく事）

就労移行支援は、障害や病気などで働くことが困難な方々に対して、

再就職に向けたサポートを行う重要なサービスですが、その効果に対して懐疑的な意見も少なくありません。

一部では、就労移行支援を利用することが時間の無駄であるとの声もありますが、

それは本当に正しいのでしょうか？ここでは、就労移行支援が有効である場合とそうでない場合の違いについて考察します。

就労移行支援でよくあるトラブル

就労移行支援は、多くの利用者にとって非常に有益なサービスですが、

ここでは、就労移行支援でよくあるトラブルについて詳しく見ていきます。

まず、よくあるトラブルの一つに、利用者が期待していた支援が受けられないというケースがあります。

これは、事業所が提供するサービス内容と、利用者が求めている支援にギャップがある場合に発生します。

このようなトラブルを避けるためには、事業所と利用者が事前に十分なコミュニケーションをとり、

期待と現実をすり合わせることで適切な支援を提供することが重要です。

利用者が自分のニーズや要望を十分に伝えられない場合、適切な支援が提供されないことがあります。

これにより、利用者は不満を感じ、最悪の場合、事業所を離れることになるかもしれません。

支援員は、利用者とのコミュニケーションを重視し、常に利用者の声に耳を傾ける姿勢を持つことが求められます。

例えば、支援員の人数が不足している場合、

一人ひとりの利用者に対する支援が手薄になり、結果的に支援の質が低下することがあります。

事業所は、支援員の適切な配置や、運営体制の強化を図ることで、こうしたトラブルを未然に防ぐ必要があります。

就労移行支援に向いている人の特徴

就労移行支援は、すべての利用者に適しているわけではありませんが、

特定の条件を満たす人々にとっては非常に有効な手段です。

具体的には

• 体調管理や就労経験がない方
• 精神的なサポートが必要な方
• 職業スキルの習得を目的としている方

ここでは、上記の就労移行支援に向いている人の特徴についてをさらに詳しく説明していきます。

体調管理や自己管理が苦手就労経験がない方

まず、自己管理が苦手な方や、就労経験が少ない方にとって、就労移行支援は非常に有益です。

そのため、専門的な支援を受けることで、自己管理能力を向上させ、就労へのステップを着実に進めることができます。

就労移行支援事業所の支援を受けることで、

徐々に自信をつけ、最終的には自立した生活を送ることが可能となります。

精神的なサポートを必要としている方

また、精神的なサポートが必要な方にも、就労移行支援は大きな助けとなります。

精神疾患を抱えている場合、特性や症状の観点から一人で就労を目指すことは非常に難しいことがあります。

就労移行支援事業所では、メンタルヘルスの専門家が在籍していることが多く、

利用者の心のケアを行いながら、無理のないペースで就労を目指すことができます。

職業スキルを身につけてから就労を目指す方

さらに、就労移行支援は特に事業所ごとの特徴が強く出ますが職業スキルの習得を目指す方にも適しています。

他にも例えば、特定の職業に就くためのスキルが不足している場合、事業所ではそのスキルを習得するための訓練が提供されます。

これにより、ご利用者様は自信を持って就労に挑むことができ、成功する可能性が高まります。

逆に、就労移行支援に向いてない人の特徴

一方で、就労移行支援が必ずしも適していない人も存在します。

具体的には以下のような特徴の方は、あまり活用できないかもしれません

• 休養期・急性期のため体調が安定しない
• ご自身で就職を目指せる、就職先のみ紹介してほしい方
• 支援を必要としていない
• 就労移行支援のサービスとニーズが一致しない

ここでは、上記のような就労移行支援に向いていない方の特徴についてご説明します。

さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご活用ください♪

参考：就労移行支援向いてない人はこんな方！体験談を元に活用法をご紹介！

急性期であり体調が安定していない方

就労移行支援の利用は、急性期や休養期などまずは休息が必要な方や

そういった、方はまずかかりつけ医に相談し利用を検討している旨を伝えて許可が出てから利用するようにしましょう。

自分で就職できる方・就職先だけ紹介してほしい方

次に、既に就労経験が豊富であり、自分で就労先を見つけることができる人にとっては、就労移行支援は必ずしも必要ではありません。

こうした方々は、就労移行支援を利用せずとも、

そのため、就労移行支援を利用するよりも、

自主的に求職活動を行った方が効率的である場合もあります。

就職支援以外のサポートを必要としない方

また、支援を受ける意欲が低い人にとっては、就労移行支援が適切ではない場合があります。

しかし、支援を受けることに対して消極的な態度を持っている場合、

提供される支援が十分に活用されないことが多く、結果的に支援の効果が薄れることになります。

このような場合、利用期間の定められている就労移行支援ではなく、適切な他の支援方法を検討することが必要です。

提供するプログラムがニーズと一致しない

さらに、就労移行支援が提供するプログラムやサービスが、

利用者のニーズと合わない場合も、支援が効果的でないことがあります。

例えば、利用者が求めているスキルや知識が、事業所で提供されていない場合、

こうした場合には、他の支援プログラムや支援機関を利用する方が、利用者にとって効果的であることが多いです。

就労移行支援に関するよくある疑問と誤解

就労移行支援については、多くの方がその効果や目的に対してさまざまな疑問や誤解を抱いています。

ここでは、就労移行支援に関するよくある疑問や誤解を解消し、正しい理解を深めるための情報を提供します。

就労移行支援は本当に意味がないのか?

就労移行支援に対して、「意味がない」と感じる人がいるかもしれませんが、それは多くの場合、誤解に基づいています。

意味がない、効果を感じられないと思う、その原因はなんなのでしょうか。

参考：就労移行支援は意味ない！？向いてない人や問題点、対処法を解説

まず、支援の効果を感じられない理由として、利用者自身の期待と現実のギャップが挙げられます。

また、事業所の質によっても、支援の効果が左右されることがあります。

質の高い事業所では、利用者一人ひとりに対してきめ細やかな支援が提供され、

利用者が就労に成功する確率が高まります。

さらに、支援を受ける際の利用者自身の取り組み方も、支援の効果に大きな影響を与えます。

しかし、受け身の姿勢で支援を受ける場合、効果が出にくくなることがあります。

支援の効果を最大限に活かすためには、利用者自身の意欲と努力が不可欠です。

就労移行支援が「ひどい」と言われる理由

就労移行支援に対して「ひどい」と言われることがあるのは、いくつかの理由があります。

まず、事業所ごとの質の差が、「ひどい」と言われる理由の一つです。

質の高い事業所では、利用者に対してきめ細やかなサポートが提供され、利用者のニーズに応じた支援が行われます。

しかし、質の低い事業所では、支援が画一的であり、利用者一人ひとりのニーズに十分に対応できないことがあります。

このような場合、利用者は「ひどい」と感じることがあります。

さらに詳しく知りたい方は、以下の記事を活用ください

参考：就労移行支援はひどい？闇があると言われるのはなぜか！？その理由と実態を解説

就労移行支援は、利用者の就労をサポートするためのものであり、

必ずしもすべての利用者がすぐに就労できるわけではありません。

この点を理解せずに利用してしまうことで、期待外れの結果に終わることがあります。

このような場合、利用者は「ひどい」と感じることがありますが、それは

支援内容が個々のニーズに合わなかったためであり、必ずしも事業所の質が低いというわけではありません。

このように、利用してから後悔をしないためには、

支援員と自身の就労までの計画について話し合いが重要になります。

就労移行支援を辞める際の対処法

就労移行支援を辞める際には、いくつかの対処法を考える必要があります。

辞める理由や状況に応じて、適切な対応を行うことで、スムーズに次のステップに進むことができます。

まず、辞める理由が事業所に対する不満である場合、

その不満を事業所に直接伝えることが重要です。

このような対策を考えることで、就労移行支援を辞めた後も、スムーズに次のステップに進むことができます。

また、就労移行支援を辞める際には、事業所との関係を円満に終わらせることも重要です。

事業所に対して感謝の意を伝えることで、将来的に再度支援が必要になった場合にも、良好な関係を保つことができます。

事業所との円満な関係を保つことで、今後の就労活動においても、何らかのサポートを受けることができる可能性があります。

悪質な就労移行支援事業所の特徴と見分け方

就労移行支援事業所の中には、利用者の将来を考えず、悪質な運営を行っている事業所も存在します。

こうした事業所では、適切な支援が行われず、利用者が期待する結果が得られないことがあります。

ここでは、悪質な就労移行支援事業所の典型的な特徴と、それらを見分けるためのポイントを詳しく解説します。

悪質な事業所の典型的な特徴

残念ながら、すべての就労移行支援事業所が高い質の支援を行っているわけではありません。

まず、悪質な事業所の特徴として、利用者に対するサポートが不十分であることが挙げられます。

このような事業所では、利用者が期待している成果を得ることが難しく結果的に利用者の満足度が低下します。

また、悪質な事業所は、行政からの報酬を不正に受け取ることを目的として運営されている場合があります。

さらに、悪質な事業所は、利用者のプライバシーを適切に保護しないことがあります。

例えば、利用者の個人情報を不適切に管理したり、第三者に漏洩したりすることが考えられます。

信頼できる事業所を選ぶポイント

信頼できる就労移行支援事業所を選ぶためには、いくつかのポイントに注意することが重要です。

まず、事業所の運営体制を確認することが重要です。

また、支援員が適切な資格を持っているかどうかを確認することも重要です。

資格を持ったスタッフが在籍している事業所は、専門的な支援を提供する能力が高いと考えられます。

また、事業所のウェブサイトやパンフレットを確認し、

提供されるサービスや支援内容が明確に記載されているかを確認することも重要です。

さらに、事業所を実際に訪問し、雰囲気や支援員の対応を確認することも大切です。

信頼できる事業所では、支援員が親切で丁寧な対応を行い、利用者のニーズに真摯に向き合う姿勢が見られます。

また、施設の清潔さや設備の充実度も確認することで、事業所の質を判断することができます。

就労移行支援の成功事例（体験談）

就労移行支援の成功事例は、支援の有効性を示す重要な要素です。
ここでは成功事例を３つ紹介します。

個人の特定を防ぐため、具体的な内容の掲載ではありませんが、ご了承ください。

これらの成功事例に共通する要因として、支援員との信頼関係の構築、適切な支援、そして利用者の積極的な取り組みが必要です。

成功するためには、事業所の支援だけでなく、自分自身が積極的に支援プログラムに参加し、自分の目標に向かって努力する姿勢が不可欠です。

今の就労移行支援で２年すぎたらどうなる？

就労移行支援は、障害や病気を抱える方が再び社会で働く力を身につけるためのサポートを提供しますが、支援期間は原則として2年間です。

2年間を超えて利用する場合は、1年間の延長申請をすることで利用可能です。

最終選考後の内定待ちや、12月時点で4月内定が出ている場合などが想像しやすいのではないでしょうか。
他の例や、詳しくはこちらをご覧ください

参考：就労移行支援で2年過ぎたらどうなる？期間リセットの方法や延長方法を解説

就労移行支援は一生に一度しか利用できない？

就労移行支援は、基本的には利用回数に制限はありません。
期間内であれば就労移行支援事業所を変更することや、一度利用の中断をすることが可能です。

しかし、2年間支援期間が終了すると、次に支援を受けるためには新たに申請を行う必要があります。

再利用には、過去の支援の成果や現状に応じた審査が行われる場合がありますので、利用者の状況に応じて適切な手続きを踏むことが重要です。

就労移行支援は2回目の利用できる？

就労移行支援を2回目に利用することも可能です。

初回の支援が終了し、再度支援が必要と判断された場合には、再申請を行うことができます。

2回目の利用に際しては、前回の支援結果や現在の状況を考慮したうえで、必要な支援内容が決定されます。

再度の利用を希望する場合には、現在の状況や必要なサポートについて事業所と十分に相談することが大切です。

以下の記事では就労移行支援の2回目の具体的な利用方法を解説しています。

参考：就労移行支援の2回目利用はできる？条件を詳しく事業所が解説！【実例つき】

就労移行支援の利用方法と選び方

就労移行支援を効果的に活用するためには、適切な事業所の選択と利用手続きが重要です。

以下では、失敗しない選び方と申請から開始までの流れについて詳しく解説します。

尚、さらに詳しく知りたいと言う方は以下の記事も併せてご覧ください！

参考：就労移行支援の選び方は？失敗しないために現役支援員が徹底解説！

就労移行支援の失敗しない選び方

就労移行支援を成功させるためには、適切な事業所を選ぶことが重要です。

失敗しないためには、以下のポイントに注意しましょう。

1.  就労移行支援事業所の実績：過去の支援実績や利用者の成功事例を確認し、信頼できる事業所を選びます。
2.  支援内容の確認：自分のニーズに合ったプログラムが提供されているか、支援内容を詳細に確認します。
3.  スタッフの専門性：支援を担当するスタッフの専門性や経験をチェックし、安心して支援を受けられるかを見極めます。
4. 利用者の評判：事業所の評判や利用者の口コミを調べ、実際の支援の質を確認します。

利用申請から開始までの流れ【利用方法】

就労移行支援の利用を開始するには、以下の流れを踏む必要があります。

1.  事業所の選定：自分に合った事業所を選び、支援内容や条件について確認します。
2.  申請手続き：必要書類を揃え、所定の申請手続きを行います。申請書には、障害者手帳や医療機関の診断書などが必要です。
3.  面接・アセスメント：事業所での面接やアセスメントを受け、支援内容が決定します。
4.  支援プログラムの開始：支援が開始されると、個別のプログラムに基づいて訓練が行われます。定期的な評価やフィードバックを受けながら、支援を進めていきます。

これらのステップを踏むことで、スムーズに就労移行支援を受けることができ、自分の目標に向けて効果的に進むことができます。

就労移行支援のからくり・まとめ

就労移行支援は、適切に利用することで、多くの利用者が自信を取り戻し、就労に成功するための重要な障害福祉サービスです。

しかし、すべての事業所が高い質を持っているわけではなく、悪質な事業所も存在するため、信頼できる事業所を選ぶことが重要です。

利用者自身が積極的に支援プログラムに参加し、自分の目標に向かって努力することで、支援の効果を最大限に引き出すことができます。

今回の記事が事業所選びの参考や、就労を目指すきっかけになれば幸いです。